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エッセイスト松原惇子さん「独身者同士で埋葬してほしい」
日本の大企業の部長で、7年間の海外勤務を経て帰任したヤマダヒロユキさん(46)=仮名=に、「久しぶりに帰って、最近の新入社員は何が違うと思いますか?」と尋ねた。すると、ヤマダさんは「車を買う若い社員がいなくなりましたね。私と同年代の人たちは就職するとまず車を買いました。彼女を作ろうと思ってです。でも、今の人は買いませんね」と答えた。
車を買わないだけならまだしも、恋愛や結婚に対する関心もない20代が増えている。昨年、明治安田生命グループの明治安田生活福祉研究所が20-30代の未婚男女1200人に恋人がいるどうか尋ねたところ、「いる」は男性が5人に1人、女性は3人に1人だった。また、20代男性の過半数が「生まれて一度も付き合った経験がない」と答えた。30代の男女のうち、「結婚したい」という人は半数にも達しない。このため、40歳になり50歳を過ぎても結婚していない人も珍しくない。40代の日本人男女3人に1人、50代の日本人男女6人に1人が未婚だ。韓国はまだこれほどではない。40-50代の韓国人で結婚していない人は10人に1人いるかどうかだ。
それでも韓国は各家庭で大騒ぎをしているのに、もっと深刻なはずの日本は静かだ。結婚していない日本人男女に「いつ結婚するんだ」と聞けば失礼になる。盆暮れ正月などに家族・親族が集まっても、韓国人の親兄弟のように「お前のせいで眠れない」と目の前でため息をついたりしない。日本人といえども、親が気をもんでいないはずがない。20年近く独身者を支援する団体を率いてきた日本人エッセイスト松原惇子さん(70)は「私が若いころは日本の親たちもせき立てました」と言った。せき立てていた親も、せき立てられていた子も、共に髪が白くなり、ある時点からか結婚以外の話をするようになっただけだ。
松原さんの世代以前にも独身を貫く人はいた。ほとんどが太平洋戦争時に婚約者が戦死して一生独身を貫くケースだった。それとは違い、松原さんの世代は戦後の高度成長期に独身でいることを選択した。彼らは今、「結婚をすべきか否か」ではなく「最期はどうすべきか」の方を心配している。そこで松原さんは17年前、東京の郊外に「女性専用墓地」を用意した。納骨堂に入って数回しか会ったことのないおいやめいに後のことを任せるよりも、同じ境遇の独身者同士で墓に眠ろうという趣旨だ。有料ながら、450人が予約を済ませた。今では同様の趣旨の墓地が全国各地に増えているという。
景気が良くなって、いい政策が行われるようになれば、こうした現象はなくなるだろうか。松原さんは「個人の選択だ」という。結婚とはそもそも国が介入してどうこうすることではないかもしれない。介入したところで、特に助けになったという証拠もない。安倍首相がいくら人口維持を訴えても、ヤマダさんの部下たちは、若いころのヤマダさんのように「早く車も家も買って結婚しなくては」とは思わないだろう。日本の47都道府県では結婚支援事業に対し、今年1月から4月までで23億円をつぎ込んだが、関連行事参加者60万人のうち結婚まで行ったカップルは1万組にもならないと共同通信では報道している。
松原さんは根本的な質問を記者に投げかけた。「キムさん、ご両親は幸せそうに見えましたか?」。西欧では以前から好きになったら一緒に暮らし、嫌いになったら別れる。逆に日本人は「我慢することこそ結婚」であり、「結婚して幸せになるのではなく、結婚したから幸せにならなければならない」と考えた。「けれども、今は日本の方が西欧よりも独身者が多いんですよ」