スターインタビュー
インタビュー:『完璧な妻』チョ・ヨジョン、強烈な悪役で話題
目に浮かべたさわやかな笑みとえくぼ。女優チョ・ヨジョン(36)はデビューからおよそ20年近くにわたり、はつらつとしたかわいらしいイメージを維持してきた。一方で、『春香秘伝 The Servant 房子伝』(2010)、『後宮の秘密』(2012)など露出度の高い映画に出演し、セクシーなイメージもあった。そんな彼女が、5月2日に放送が終了したKBSの月火ドラマ『完璧な妻』で、身の毛もよだつような悪役へと異例の変身を遂げた。一人の男性に対する執着ゆえに殺人すら厭わず、ありとあらゆる悪行を重ね、最終話では燃え盛る火の手の中で息絶えた。
ドラマの撮影を全て終え、5月4日に対面したチョ・ヨジョンは「出演を決めたときは、正直言って、これほど異常な悪役だとは思わなかった」と語った。表向きは、髪の毛一本たりとも乱さない完璧な妻。いつも愛嬌あるほほ笑みを浮かべ、ドレス姿で家の中をきれいにしているが、実は子どものころ両親からの虐待に耐えられず、サイコパスになったという女性だ。はだしでガラスコップを踏んで血を流しながら歩いていくなど、狂気ほとばしる演技を十分にやってのけた。
『完璧な妻』は当初、コ・ソヨンが10年ぶりにテレビドラマ復帰を果たす作品ということで注目された。肝心の視聴率は不振だったが、チョ・ヨジョンの演技は大きな話題になった。「私はもともと執着も、嫉妬も、後悔もあまりやらないクールな性格なんですよ。自分とは全く違う特質を持つ配役もできるだろうかと、挑戦してみました」。悪役を演じるのは初めてだった。「一般的な情動からは完全に逸脱した人物なので、参考にできる例は特になかった。生きてきた中で目にした、あらゆる悪い人のことを思い浮かべた」という。
「自分が悪いということを理解している人は、罪悪感を隠すため、誇張された言動や行動を取ります。もっと悪い人は、自分が絶対的に正しいと信じています。いつも確信に満ちているので、顔つきは冴えていて、目も澄みきっています」。おかげで、顔を見ただけでもぞっとする悪役が完成した。「それに、俳優にとって、役に立たない経験というものはないだろうと思って」。
主役より悪役の方が注目されて演技力を認められるという例は、『完璧な妻』のほかにも、最近はしばしば見られる。「有名になりたかったら悪役をすべき」と言われるほどだ。チョ・ヨジョンは「これまで自分が我慢してきたことを代わりに実現してくれる、痛快さと代理満足のあるからではないか」と分析した。デビュー当初、かわいくてしっかりしたイメージから「リトル『コ・ソヨン』」とも呼ばれたチョ・ヨジョンは「学生時代の最高のスターだったコ・ソヨン先輩と同じ作品で対面することになって、信じられないほど光栄」と語った。
チョ・ヨジョンは、5月5日から始まる国立バレエ団『許蘭雪軒』公演のチケットを予約した。一人でもしばしば舞踊の公演を見に出掛け、2年前からは自身も現代舞踊を学んでいる。「ダンサーの体は、最も理想的な人間の肉体を見せてくれると思います。美しい動きを見るだけでもほれぼれしますね」。あまりにも強烈な悪役をやったことで、次回作を選択する上で負担にならないのかと尋ねると、チョ・ヨジョンは「露出が多い作品をやったときも、周りでは同じ心配をしたが、当の本人は全く気を遣わなかった」と答えた。「きれいな真心で、ひたすら演技だけを追求しながら、一生懸命やり続ければいいと思います」。