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1920年代のソウルへ時間旅行 /慶南・陜川
ツツジ祭りで有名な黄梅山のある慶尚南道陜川郡。ここには花しかないと思ったら大間違いだ。陜川郡は映画やドラマのロケ地としてその名を知られている。黄梅山から車で10分ほどのところにある陜川映像テーマパークは、映画『暗殺』『愛を歌う花』『サニー 永遠の仲間たち』やドラマ『エデンの東』『ジャイアント』『カクシタル』などが撮影された場所。CMまで含めると、190本余りの映像物がここで撮影された。
チケット売り場を過ぎると、まずは電車が目に入ってくる。「亰城駅」と「鍾路警察署」は1920年代のソウルの雰囲気を漂わせている。日本による植民地時代の敵産家屋(日本風の家屋)通りは、日本人町があった昔の全羅北道群山市を訪れたような気分になる。6・25戦争(朝鮮戦争)を思わせる北朝鮮軍のビラ、1960年代の防火ポスターがあちこちで破れかかっており、まさにその時代にタイムスリップしたような面白みがある。
2000ウォン(約200円)でレンタルできる1970-80年代の制服を着て写真を撮ると、タイムマシンに乗って過去に行ってきたと言ってもいいくらい。ここは、主に黄梅山を訪れる年齢層よりずっと若い世代のデートコースになっている。あちこち傷んだ建物で目につく発泡スチロールの造形物や、入り口から続く店にある総天然色のパラソルが少し目障りなのが残念だ。入場料は大人3000ウォン(約300円)。
映像テーマパークの近くには大統領府(青瓦台)のセットもある。実際の大統領府の68%の大きさで作られた。2階には大統領の執務室が忠実に再現されている。大統領のいすに座り、大統領になったような気分を味わうことができる。
陜川八景の一つに挙げられる陜川郡竜洲面の黄渓滝は、映画『花、香る歌』で朝鮮初の女性パンソリ(韓国の伝統芸能の一つ)歌手チン・チェソン(missAスジ)が歌の練習をするシーンが撮影された場所だ。黄梅山から車で15分ほどのところにあり、車を降りてから滝までは歩いて10分もかからない。2段に流れ落ちる滝だが、高さ12メートルのところから岩に向かって流れ落ちる1段目の滝が特に壮観。岩にぶつかった水は泡となって飛び散り、滝に近づくとエアコンのように涼しい風を感じることができる。雷鳴のような音が響いており、なぜここでパンソリの練習シーンを撮影したのか、誰もが実感できるだろう。
智異山パレ峰に向かう途中に位置する全羅北道南原市雲峰邑には、「国楽の聖地」がある。東便制を完成させた宋興禄(ソン・フンロク)の生家や国楽展示体験館、野外公演場などがあり、名唱と呼ばれる歌い手たちの遺物も展示されている。南原市巳梅面にあるホンブル(魂の火)文学館は、崔明姫(チェ・ミョンヒ)の小説『魂の火』を記念してできた。崔明姫の直筆の原稿や小説のシーンを再現したジオラマなどが展示されている。