俳優ナムグン・ミンが、女優イ・ヨンエを負かすとは。水木ドラマの視聴率競争で、ナムグン・ミン(38)主演の『キム課長』(KBS2)が、13年ぶりにテレビドラマ復帰を果たした「韓流の女神」イ・ヨンエの『師任堂 色の日記』(SBS)を抑え、勝勢を確実にした。

 第2話までは視聴率9.1ポイント差(ニールセン・コリア調べ、以下同じ)で後れを取っていた『キム課長』は、第4話で1.5ポイント差をつけて逆転に成功、その後も差を広げ続けている。今月16日に放送された『キム課長』第8話は、視聴率17.5%をマークして自己最高を更新した一方、『師任堂』第8話は10.3%にとどまった。際立ったスターのいない会社暮らしコメディが、製作費200億ウォン(現在のレートで約19億7000万円)を投じた大作を破ったのだ。

 『キム課長』は、痛快なストーリーや助演陣のしっかりした演技はもちろんだが、ジム・キャリーを彷彿とさせるナムグン・ミンのコミカルな演技が最大の人気要因に挙げられる。1発大きく「かすめ取る」ため大企業に入社した会社員を演じるナムグン・ミンは、厚かましいが憎めない役を愉快に、かつ繊細にこなした。アドリブに秀でた「コミック神」という別名まで付いた。

 今作で初めて単独主演を務めるナムグン・ミンは、もともとキャスティングでトップに挙げられてはいなかったという。チャ・テヒョンなどスター級の男性俳優が多数候補に挙がったが、キャスティングは難航し、番組編成そのものがずれこんだこともあった。ナムグン・ミンは、一つずつ順に段階を踏んで上ってきた、大器晩成タイプの俳優だ。中央大学機械工学科出身で、校長を務めた父親の反対を押し切り、演技の授業もきちんと受けたことがないまま、がむしゃらにオーディションを受けて回ったという。

 SBSのシチュエーション・コメディ『大当たり家族』(2002)でデビューしたナムグン・ミンの別名は「リトル・ペ・ヨンジュン」。日本のテレビ局や雑誌社から代役インタビューの要請を受けたほどに、人のよさそうなほほ笑みが似ていた。自分だけの特色を探して髪型を変え、眼鏡も外した。

 映画『卑劣な街』(2006)、ドラマ『私の心が聞こえる?』(2011)などで注目されたが、ずっと助演専門だった。キム・ジェウォン、コン・ユ、キム・ジュヒョク、チョ・インソンなどが主演を務める作品に登場し、主人公の恋敵になったり、主人公に嫉妬して苦しめたりする役を演じた。あるインタビューで、ナムグン・ミンは「裏面を見せなければ消耗するだけの役なので、常により多くのことを考えた。一度にぱっと浮き上がるのではなく、少しずつ発展していく過程から生じる一種の劣等感が、僕の強みだと思う」と語った。

 昨年の『リメンバー』(SBS)で、極悪非道な財閥2世という役で主人公よりも注目を集め、強力に爆発し始めた。本来、出番はあまりなかったが、非常に話題になったことから最終話まで出演が続いた。3か月後の『野獣の美女コンシム』(SBS)では、コミカルで温かみのある街の弁護士に変身し、悪役のイメージを瞬く間にふるい落として新たな可能性を見せた。その次の作品が『キム課長』だ。

 ナムグン・ミンは、番組スタート前「視聴率が15%を超えたら、同僚俳優と一緒に、会社員にコーヒーを1000杯おごる」という公約を掲げた。近々、実行する計画だ。

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