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【萬物相】女優キム・ミニとホン・サンス監督
今や伝説となったスウェーデン出身の名女優イングリッド・バーグマンがトップスターだった1949年のことだ。バーグマンはイタリア人監督ロベルト・ロッセリーニに手紙を書いた。「あなたの映画を拝見いたしました。もしかしたら英語を上手に話し、ドイツ語も忘れていなくて、フランス語もかなり話せて、イタリア語で『愛している』と言えるスウェーデンの女優がお入り用ですか? 私の準備はできています」。デビュー12年目のロッセリーニも新進気鋭の監督だった。その年、2人は映画で出会い、運命のように恋に落ちた。
バーグマンは事実、外国語に堪能だった。不朽の名作となった1942年の『カサブランカ』や44年の『ガス燈』でその名をはせていた。しかし、2人は妻帯者であり人妻だったため問題になった。ロッセリーニは衣装デザイナーの2人目の妻と結婚して13年目で、子どもが2人いた。バーグマンにも歯科医師であるスウェーデン人の夫と娘がいた。ところが、バーグマンはロッセリーニと不倫関係になった1年目に突然妊娠した。2人の不倫と妊娠は欧米でとてつもないスキャンダルを巻き起こした。
バーグマンとロッセリーニの関係は世界の映画界の「20世紀5大スキャンダル」で第1位と言えるだろう。2人のスキャンダル以降、映画監督と女優のカップルはありふれたものになった。映画『PLANET OF THE APES/猿の惑星』のティム・バートン監督と女優ヘレナ・ボナム=カーター、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で結ばれたスティーブン・スピルバーグ監督とケイト・キャプショーも騒がれた。いちいち数えるのも面倒なほどだ。韓国でも申相玉(シン・サンオク)監督と崔銀姫(チェ・ウンヒ)、林権沢(イム・グォンテク)監督と蔡寧(チェ・リョン)のようなベテランから、最近ではチャン・ジュンファン監督とムン・ソリ、キム・テヨン監督と中国人女優タン・ウェイまですぐに思い浮かぶ。
女優キム・ミニがおととい、ベルリン国際映画祭で銀熊賞の女優賞を取った。ホン・サンス監督の映画『On the Beach at Night Alone』(『夜の海辺で一人』)という映画での演技が認められたものだ。既婚男性の映画監督と男女関係になり、すべてを失って苦しむ女優が主人公だ。韓国では来月公開される。妻がいるホン・サンス監督とキム・ミニには昨年夏から実際に不倫のうわさがあった。実生活をたどった映画だというわけだ。歌手はよく、自身が歌った歌の通りの人生をたどると言われる。ホン・サンス監督とキム・ミニは折れ曲がった人生を歩み出してから、それを模した映画を作った。
その映画が世界の舞台で認められたということで、これまで苦言を呈していたアンチたちの反応が気になる。1980年代のベネチア国際映画祭で女優カン・スヨンが映画『シバジ』で、2000年代にカンヌ国際映画祭でチョン・ドヨンが『Secret Sunshine』(『密陽』)で主演女優賞を獲得した。しかし、今回のようにドラマチックではなかった。3回結婚し、恋人も多数いたバーグマンは「俳優はただひたすら才能と情熱的で語る」と言った。キム・ミニは受賞コメントで「偽りではなく、真の愛がほしいと思った」と言った。受賞式でホン・サンス監督とキム・ミニは並んで座り、しっかり握りしめた手を離さなかった。