スターインタビュー
インタビュー:パク・ボゴム「でたらめだが魅力ある世子役は難しかった」
「許さない。私のものだ」
「お前の願いをかなえたいというのが私の願い」
「一度やってみようと思う。その悪い愛というやつを」
10月18日に放送が終了したKBS第2テレビのドラマ『雲を思う月光』で、毎回終了直前に視聴者のハートをつかむせりふを披露し、「エンディングの妖精」という別名が付けられた俳優パク・ボゴム(23)。10月26日、ソウル市中区三清洞のカフェで彼と対面した。パク・ボゴムは、朝鮮王朝の第23代国王・純祖の長男「孝明世子」がモデルの王世子「イ・ヨン」を演じた。
2016年は「ボゴム・マジック」(パク・ボゴムが出演したら視聴率が魔法のように上がるという意味)の年だった。tvNの『応答せよ1988』は、ケーブルテレビドラマとしては歴代最高の視聴率(19.6%)を記録した。KBSのバラエティー番組『ハッピーサンデー』内のコーナー「1泊2日」も、パク・ボゴムがゲスト出演すると視聴率が垂直上昇した。『雲が思う月光』では、毎打席ホームランを飛ばした。10月19日に景福宮で開かれたファンサイン会には、パク・ボゴムの顔を見ようというファンがおよそ5000人も押し掛けた。学生から50-60代の女性ファンまで、年齢層も多様だった。
このドラマは、パク・ボゴムにとって初挑戦の歴史ドラマだった。夢と野望を隠し、ならず者のふりをして現れる序盤のイ・ヨンの演技をこなすのは容易ではなかった。パク・ボゴムは「もともと、あまり遊ばない方なので、でたらめに振る舞いながらもカリスマにあふれて慎重なイ・ヨンのキャラクターを演じるのはかなり難しかった」と語った。パク・ボゴムは、歴史ドラマになじむコツとして、周囲の助けを挙げた。
事務所が同じイム・ジュファンは「眉の端に網巾(髪をまとめるための頭巾)の端が来るようにするといい」と、韓服を恰好よく着る方法を教えた。相手役のキム・ユジョンは、歴史ドラマに出演した経験を活かして、陰に陽に手助けした。監督、撮影監督、照明監督に至るまで、パク・ボゴムの周囲への称賛は絶えることがなかった。
実際、パク・ボゴムは芸能界でも有名な「まっすぐに生きている男」だ。旅行先で、ガイドが決めたレストランではなく、現地の別のレストランを探すというのが、パク・ボゴムが考える「逸脱」だ。ストレスは水泳や、CCM(現代キリスト教音楽)を聞いて解消する。パク・ボゴムは、きまり悪そうに笑った。「全然面白くないでしょ」。
突然の人気が怖かったり、負担だったりはしないのだろうか。「負担というより、今はファンに一人一人あいさつできなくて、申し訳ない気持ちの方が強い。ファンサイン会をするだけでも大勢の方がいらっしゃって、人波のせいでけがをするのではとはらはらした。せっかく来たのに目も合わせてくれなかった、と思っているのではと心配で」。
またパク・ボゴムは、プレゼントを受け取らない芸能人としても有名だ。サイン会を訪れたファンからプレゼントを渡され、困ったような表情を浮かべて断る様子や、プレゼント代を貯金して親孝行しなさいという言葉が話題になった。「プレゼントを選んで手紙を書き、どきどきする気持ちは僕も分かる。けれど、僕がしてあげられるのは演技しかない。青少年だって、欲しいもの、買いたいものがどれほど多いか。僕も小遣いをもらって育ったから…。気持ちだけで十分」。
パク・ボゴムはインタビューの間ずっと、聞いている方が息苦しくなるほど早口でしゃべった。インタビューの時間があまりないので、早く答えて次の質問ができるようにという配慮だった。インタビューする40分の間に、パク・ボゴムは「感謝」という単語を10回以上も使った。「世子殿下」の配慮と愛は、まるで広い海のようだった。