▲KBS第2テレビの月火ドラマ『雲を思う月光』で世子を演じ、女性のハートを揺さぶっているパク・ボゴム。少年のように純粋でありつつ、意外と男らしいカリスマあふれる姿も披露して、大きな人気を集めている。/写真=KBS

「今、世の中で一番素敵な女性と向き合ってる。そう言っても構わないかな」

「だが一度やってみようと思う。その悪い愛というやつを」

 この甘く古典的な愛の告白で、数多の女性の眠りを妨げている男性がいる。KBS第2テレビの月火ドラマ『雲を思う月光』の主人公パク・ボゴムだ。朝鮮王朝後期、純祖(第23代国王)の息子・孝明世子を演じるパク・ボゴムは、女であることを隠して内官になったホン・ラオン役のキム・ユジョンと、秘密の恋愛を繰り広げている。8.3%でスタートした番組視聴率は7話目で20%を突破し、19日に放送された9話では21.3%と頂点を極めた。

 羽毛のように軽いストーリー展開のロマンチック・フュージョン歴史ドラマを、パク・ボゴムは慎重かつ繊細な演技で引っ張っている。真剣だがとぼけていて、少年のようでありつつ男らしい姿は、今春にブームを起こした『太陽の末裔』(KBS)のユ・シジン大尉(ソン・ジュンギ)を見ているかのようだ。ユ・シジン大尉と同じように『雲~』の孝明世子も、登場するたびスローモーションの技法が用いられ、物悲しいバラード曲が流れる。「(よそに行くことは)許さない。私のものだ」という、いささかどぎついせりふをさらりとこなすところも、ユ大尉と孝明世子の共通点といえる。

 「ボゴム煩い」はもちろんのこと、パク・ボゴムを見て力をもらうという意味の「ボゴム充電」、月曜日が待ち遠しいという「月曜病」など、新しい造語も量産されている。愛する女性に猪突猛進で気持ちを表現するという意味で「朝鮮の直進男」、毎回終わる直前にロマンチックな告白が登場するという理由で「エンディングの妖精」というような別名も付いた。さらに、思いがけない「薬果」ブームも起きた。きっかけは、パク・ボゴムが「お前は私の薬果ではないのか」と言って、キム・ヨジョンの口に薬果を入れてやるシーン。ネットでは「パク・ボゴムは国民の薬果」「来世では薬果に生まれ変わりたい」といった書き込みが次々となされた。

 パク・ボゴムは、今年初めに放送されたtvNの『応答せよ1988』で広く名前が知られるようになったが、以前からいろいろな演技の経験を積んでいた。2011年に映画『ブラインド』でデビュー、さまざまな映画・ドラマの助演や子役を務め、KBSの『君を覚えてる』ではサイコパスの悪役もこなした。そして、天才囲碁棋士チェ・テクを演じた『応答せよ1988』とtvNの旅行バラエティー番組『花より青春』で善良・純粋な青年のイメージを打ち出し、スターダムにのし上がった。

 『雲を思う月光』では男らしく強靭なカリスマ性をアピールし、変身に成功した。「応答せよ」シリーズに出演した俳優は軒並み次回作で失敗を経験し、「応答の呪い」という言葉まで生まれたが、パク・ボゴムは例外というわけだ。

 ソン・ジュンギ、キム・スヒョン、ユ・アインなどに続き、歴史ドラマの国王・世子役で大人気を集めた清純スターの系譜も受け継いだ。権力をめぐる暗闘を絶えず繰り広げなければならず、定められた運命の中で真の愛を手にするためもがかねばならない王世子の役は、幅広い演技力を必要とするため、俳優としては負担が大きい。しかし、ひとたび成功すれば大きな人気と共に演技力のお墨付きを得るチャンスでもあり、大スターへの足掛かりとなってきた。

 シチュエーションコメディでデビューしたキム・スヒョンは、子役や清純ものを経て、歴史ドラマ『太陽を抱く月』(2012)で若き国王を演じて一躍トップスターになり、『星から来たあなた』(2013)で最高の韓流スターの隊列に加わった。『成均館スキャンダル』(2010)で美形のイメージが定着したソン・ジュンギもまた、『根の深い木』(2011)で世宗大王の世子時代を演じて強い印象を残し、『太陽の末裔』でブームを起こした。次はパク・ボゴムの番になる可能性が高い。

ホーム TOP