女優ソ・ヒョンジン(31)=写真=が次世代の「ロコクイーン」(ロマンチックコメディ・クイーンの略)に浮上した。tvNの月火ドラマ『オ・ヘヨン』でオ・ヘヨン役を務めるソ・ヒョンジンは、同番組の人気の核。挙式前日に破談になった経験を持つオ・ヘヨンが、無愛想な音響監督パク・トギョン(SHINHWAエリック)とたまたま一つ屋根の下で暮らすことになる-というストーリーのドラマで、気の毒な「平凡女」オ・ヘヨンをリアルに描写している。2%台の視聴率からスタートした同番組は、第14話で視聴率9.4%(ニールセン・コリア調べ、有料プラットフォーム基準)を達成し、ケーブルチャンネルの月火ドラマとしては初めて視聴率10%台をうかがいつつある。

■リアル「オ・ヘヨン」

 ソ・ヒョンジンは、「三級水」人生だと自嘲(じちょう)するオ・ヘヨン自身と似ている。2001年に16歳でSMエンターテインメント所属のガールズグループ「M.I.L.K」メンバーとしてデビューしたが、アルバムを1枚出しただけで活動を停止した。ドラマには地道に出演したが、20代の間はいつもほぼ無名だった。地上波のドラマで主役を射止め、好演を繰り広げたこともあったが、視聴率は低調で、早々と放送が終了した。あるインタビューでは「両親から『女優はやめろ』と勧められた」と語っていたほど。オ・ヘヨンと同じく、輝かしい時期と一度も巡り会わないまま、30代になった。「人生がちょっと残念な子」というオ・ヘヨンの設定と同じく、ソ・ヒョンジンは「残念な時」を過ごさなければならなかった。

 転機は昨年、ソ・ヒョンジンが出演したドラマ『ゴハン行こうよ2』。現代ドラマや歴史ドラマで見せていた優雅なイメージから抜け出し、ドジな作家を演じて好評を博した。先月、ソ・ヒョンジンは記者懇談会で「小市民的で気の毒なキャラクターが好き。そんなキャラクターの方がよく理解できる。心も引かれる」と語った。デビューから15年で「ロコクイーン」の名を手に入れたソ・ヒョンジンの「オ・ヘヨン」に、視聴者がのめり込むのは、ある意味当然の結果だ。

■笑ってもきれい、泣いてもきれい

 オ・ヘヨンは、パク・トギョンに駆け寄って抱きしめられたとき、胸のパットが外れて飛び出してしまい、別れの痛みをタンゴの楽曲に乗せて無我夢中のダンスに昇華させた。「躁鬱ドラマ」という別名が示すように、オ・ヘヨンは泣いては笑い、笑っては泣く。場合によっては視聴者が感情の動きについて行けなくなりかねないこのキャラを、ソ・ヒョンジンは見事にこなした。アイドル活動で人気を集めてすぐに演技に乗り出す女優とは異なり、10年間も端役、助演、悪役を演じ、しっかりと演技の経験を積んでから主役の座に上ったお陰だ。毎回涙を流すシーンを演じるというのに、いつも印象が異なる。自らを「ちょろい女」と呼び、積極的に愛を表現する演技もリアルに繰り広げた。「これといって特徴のない顔で主役級を務めるのは難しいのではないか」という声もあったが、そのお陰で視聴者が感情移入しやすくなった、という分析もある。

 また今回のドラマで、ソ・ヒョンジンは9時間を越えるワイヤーアクション撮影を笑顔で終え、相手役のエリックを感嘆させた。『ゴハン行こうよ2』では、リアルな演技のために熱い食事を急いで飲み込み、口内をやけどすることも厭わなかった。間もなく公開される映画『GOODBYE SINGLE』でソ・ヒョンジンと共演したキム・ヘスは、インタビューで「ソ・ヒョンジンは定石をきちんと踏まえたがる、欲のある女優」と称賛した。

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