6月の映画街は、スクリーンに戻って来る女優たちのお陰で久方ぶりに明るく輝いているようだ。久々に映画を通して活動を再開するトップ女優たちの魅力対決が見どころ、と言えるだろう。中でも、大胆な演技に挑戦したキム・ミニ、コミカルなキャラに戻るキム・ヘス、ギャップのある魅力を狙うソン・イェジンの存在感が期待できる。

■『アガシ』で大胆同性ラブシーンのキム・ミニ、演技人生最高のチャレンジ

 キム・ミニは、6月1日に封切りされるパク・チャヌク監督の新作『アガシ』で、これまで見せたことのなかった大胆な演技の神髄を披露した。同作は1930年代、植民地時代の朝鮮を背景に、莫大な遺産を相続した令嬢が、自分を誘惑しようとする伯爵・メイドに出会うというストーリーのエロチックスリラー。キム・ミニは、幼いころに両親を失った後、後見人を務めるおじ(チョ・ジヌン)の厳しい保護の下で暮らし、莫大な財産を相続する貴族の令嬢「秀子」を演じた。

 映画は、早くに両親と死別し、朝鮮へやって来て寂しく暮らす秀子の、孤独だが神秘的なイメージを浮き彫りにすることに重点を置いた。世の中のことをきちんと経験していない秀子。おじの書斎で本を朗読することが、秀子の暮らしの中で最大の日課だった。その後、秀子は新しいメイドと、相続財産を狙う詐欺師の伯爵(ハ・ジョンウ)に出会い、暮らしは大きな変化に直面した。

 秀子の暮らしが変化する過程は、実にひそやかで、魅惑的だ。キム・ミニは秀子を演じながら、あまりせりふを口にすることなく、ひたすら不穏な行動や態度などで独自のキャラクターを完成させていった。

 キム・ミニは、次第に緊迫していく展開の中で、純真なようでいて鋭さを秘めた女性の役への没入を深めていった。秀子の隠された裏面は、キム・テリ演じるメイドとの同性ベッドシーンを通して赤裸々に表現された。全裸で撮影が行われたこのベッドシーンは、神秘的だった秀子の第一印象からは感じ取れなかった衝撃をもたらした。これはもちろん、女優としてのキム・ミニの新たな姿でもあった。

 キム・ミニは今回の同性ベッドシーンについて「感情に忠実であるため努力した」と淡々と語った。それぞれの瞬間で演技に最善を尽くしたと強調してきたキム・ミニの今回の演技は、明らかに空前絶後のチャレンジだと言えるだろう。

 
■『GOODBYE SINGLE』のキム・ヘス、これ以上ないコミカルさ

 キム・ヘスは、6月29日公開の映画『GOODBYE SINGLE』(キム・テゴン監督)で久しぶりにスクリーンに登場する。昨年4月の『コインロッカーの女』以来、およそ1年2カ月ぶり。最近の作品では、いつも重たいキャラクターばかりこなしてきたキム・ヘスだけに、今回の『GOODBYE SINGLE』でのコミカルな魅力は気になるだろう。

 同作は、韓国を代表する一人暮らしの女優が、自分にはない家族を作るため、話にならない妊娠スキャンダルを引き起こすというストーリーのヒューマンコメディ。キム・ヘスは同作に「20年間ずっと愛され続けている女優」という役で登場する。キャラクターだけを見ると、キム・ヘス本人とあまり変わらない点が目に留まる。

 相手役がマ・ドンソクという点も、共演に期待が持てる部分だ。マ・ドンソクは、筋肉質なボディとは裏腹に、「マブリー」という別名を持つほどかわいげあるという、ギャップのある魅力を持つ俳優。ユニークな堂々たる雰囲気に加え、女優としてかわいらしい魅力も併せ持っているキム・ヘスとの共演がどうなるか、注目される。

■『秘密はない』のソン・イェジン、キム・ジュヒョクと8年ぶりに夫婦役で再会

 ソン・イェジンは、ミステリースリラー『秘密はない』で、演技の転身を狙う。同作は、国会入りを目指す男性が、選挙期間中、自分の妻に迫る事件と向き合うことで起こる物語を描く。『ミスにんじん』のイ・ギョンミ監督の新作だ。

 同作の核心は、選挙に集中する夫に降りかかる、娘の行方不明事件。この事件をめぐって、選挙を放棄できない夫と娘を放棄できない妻が対立し、スリルの面白みを増すことになっている。

 ソン・イェジンは同作で、夫婦役という形でキム・ジュヒョクと再会した。2008年の映画『妻が結婚した』以来、およそ8年ぶりとなる。当時とは全く異なる夫婦役で共演するというところに、興味がそそられる。『妻が結婚した』は恋愛・結婚に関する、愉快だが真剣なロマンスに重きを置いていたのに対し、『秘密はない』は夫婦二人をめぐるミステリーによって引き起こされる、予測不能な展開に重きが置かれる予定だ。

 『秘密はない』は、6月23日公開予定。

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