スターインタビュー
インタビュー:カン・ドンウォン「目標は損益分岐点」
カン・ドンウォンは遠回しな言い方をしなかった。200万人は、映画『黒い司祭たち』(11月5日公開)の損益分岐点(BEP)だ。それ以上の観客を動員しなければいけないと力説した。自分が商業映画に出演している以上、商業的な面白さの有無は重要な問題だ。『黒い司祭たち』を選択したのは、これまでの韓国映画にはなかったジャンルながら、そのような可能性を確認したからだ。
「だからといって、ヒットに飢えている俳優ではありません。幸運なことに、『M(エム)』以外は失敗した作品がほとんどありません。『群盗』も『世界で一番いとしい君へ』も損益分岐点を超えましたから」
カン・ドンウォンは毎回、損益分岐点を超えることを目標にしている。「1000万人動員俳優」も大勢いるのに、素朴ではないかと問い返すこともできるが、大ヒット映画が増える一方で、そうではない映画も多い。損益分岐点を達成しなければ失敗で、失敗は多くの人の苦労を無駄にする。
「『黒い司祭たち』はこれまでなかった映画なので、200万人を超えたらそれで満足できると思います。300万人を超えたらもっとうれしいですが」
難しいことではなさそうだ。『黒い司祭たち』は「韓国版エクソシスト」が通用するのかという疑念を、試写会後に一掃した。ジャンル的に、また内容的に興味深い映画が登場した、という意見が大部分だ。
カン・ドンウォンのビジュアルは今回も際立っていた。道士服=『チョン・ウチ 時空道士』=、韓服(韓国の伝統衣装)=『群盗』=も似合っていたが、司祭服もオーダーメードの服のようにピッタリだ。神学校の問題児というキャラクターも、自分の服を着ているかのように自然な印象。カン・ドンウォン演じるチェ助祭には、学生時代の本人と似ている部分があるからだ。カン・ドンウォンは高校時代および大学時代に寮生活をしていたこと、高校時代に試験中、眠ってしまったことなどを打ち明けた。
しかし、チェ助祭はただの問題児ではない。幼少時代の事故のせいでトラウマを抱えて生きている、陰のある人物だ。
「チェ助祭みたいな感じではありませんが、僕にも怖さがあります。仕事(演技)ができなくなったらどうしよう。顔を知られているのに、何の仕事ができるだろうか。韓国で生きていくことができるだろうか。そういう怖さです。仕事をできないのが、僕にとっては一番怖いことなんです。それでも十数年たったので、自分を信じる気持ちも芽生えてきました。そうして、怖さを軽減していくことができた気がします。お酒に酔っても、幸いミスはしないと思います」
一部では、カン・ドンウォンがコンスタントに作品に出演していることを、除隊後の変化とみている。しかし、実際にカン・ドンウォンは入隊前も1年に1、2作ずつ出演してきた。
「それは皆さんが僕を社会人として、また映画人として尊重し、認め始めたからではないでしょうか。そのような次元で、頑張っていると分かってくれているのだと思います。あるいは、年を取ったからでしょうか(笑)」