仁川広域市甕津郡は島が100以上あって、豊富な観光資源を誇り、毎年約440万人の観光客が訪れている。これほど人気がある理由の一つは、それぞれの島に絶景が楽しめるトレッキング・コースがあることだ。
 これらの島々の中でも、仁川沿岸旅客ターミナルと大阜島(京畿道安山市)から旅客船が運航されていてアクセスが良く、美しい海岸と樹齢数百年の松林を持つことで知られる徳積島(仁川広域市甕津郡)に行ってきた。

徳積島を代表する観光スポット・西浦里海水浴場。徳積島は海水浴と森林浴を同時に楽しめる島だ。

 徳積島に行くには、仁川沿岸旅客ターミナルまたは大阜島碓頭船着場から船に乗る。仁川沿岸旅客ターミナルからは約1時間10分、大阜島からは約2時間40分かかる。少しでも早く徳積島に行こうと、今回は仁川沿岸旅客ターミナルから船に乗った。
 午前9時、客を乗せた船が徳積島に向かって出発した。船から西海(黄海)の美しい姿を眺めていると、仁川大橋が迫ってきた。遠くから見るだけだった仁川大橋を間近で見て、その長さや広さを実感した。
 1時間ほどして徳積島に到着した。船着場に降りてみると、すでに徳積島旅行を終えたと思われるキャンプ用品を背負った人や、カラフルなアウトドア・ウエアを着た人など、かなり多くの人々がいた。

陵洞小石広場は海岸全体が小石で覆われている。その端には巨大なソンドルバウィ(立石岩)が立っている。

 島に降りてまず、徳積島の北にある陵洞小石広場に向かった。陵洞小石広場は、その名の通り、砂ではなく小石がいっぱいだった。ここは丸い小石がゴロゴロしているため、歩くときはご注意を。ちょっと油断すると足をくじきかねないからだ。海岸に近づくと、波の音がはっきりと聞こえてきた。小石の間にさざめく波の穏やかな音は耳に心地いい。
 ひときわ目を引くのは陵洞小石広場にそびえ立つ巨大な岩「ソンドルバウィ(立石岩)」だ。横から見た姿がラクダに似ているため、ラクダ岩とも呼ばれている。この岩は小石がいっぱいのこの海岸で、異質で神秘的な空気を漂わせていた。
 もう一度船着場近くに戻り、飛鳥峰に向かった。徳積島のトレッキング・コースとして有名な飛鳥峰は海抜292メートルで、徳積島周辺の景色が一望できる。

飛鳥峰の頂上から見た徳積島の全景。徳積島を一望できる。

 飛鳥峰の道は時折ちょっとした上り坂があるのを除けば、ほとんどが緩やかだ。また、山道を行くと緑豊かな木々と広々とした尾根が姿を現し、心の憩いとなる。途中、1-2回休みながら、無事頂上まで上ることができた。
 飛鳥峰の頂上には徳積島の風景がさらに楽しめるよう、展望台が設けられている。展望台から徳積島、西海、近くの蘇爺島、掘業島などを眺めた。果てしなく広がる水平線と、視野全体を染める青が開放感を与えてくれた。

西浦里海水浴場では海水浴を、松林では森林浴が楽しめる。

 飛鳥峰を下りて西浦里海水浴場に向かった。西浦里海水浴場は徳積島を代表する観光スポットだ。干潟が多い周辺のほかの島とは違い、ここは広い砂浜が広がっている。さらさらの砂や、浜に静かに打ち寄せる波を見ていると、まるで東海(日本海)や南海(対馬海峡西部)に来たような気持ちになった。
 西浦里海水浴場の裏手には樹齢100年を超える松林がある。遊歩道が整備されているのでゆったりとした気持ちで歩けた。松の木の間を吹き抜ける潮風はさわやか。心と体が元気になる気がした。

帰りの船から見た西海の夕日。徳積島で夕日を見るには1泊2日の旅行がオススメだ。

 午後4時。仁川市内に戻るため船に乗り込んだ。徳積島で見る夕日は西海岸の中でも一番だそうだ。だが、残念ながら日帰り旅行ではその夕日が見られなかった。そうした物足りなさを埋めてくれるかのように、仁川大橋の向こうに沈む夕日が美しかった。それでもやっぱり徳積島で夕日が見たいなら、1泊2日の旅を計画するケースも多いという。次の旅を心に誓って、今回の旅を締めくくった。

 

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