▲バラエティー局のプロデューサーの世界をリアルに描くドラマ『プロデューサー』/写真提供=KBS

 「視聴率のためじゃないか。君も視聴率のせいで、お腹を空かせた子どもに朝食も与えていないって。そんな話にもならないクイズをしているんじゃないの? 君たち、それを見て面白いって、絵になるって喜んでるじゃないか」

 芸能プロダクションの代表が鋭く言い放つ言葉に、意気込んでいたバラエティー局のプロデューサーは口をつぐんでしまう。バラエティー局のプロデューサーの世界を舞台にしたドラマ『プロデューサー』(KBS第2)のワンシーン。視聴率至上主義のプロデューサーを皮肉るこのセリフに「バラエティー局のプロデューサーがつくったドラマだから、より新鮮な自己批判」「何も考えずバラエティー番組を見ていたのが恥ずかしくなるようなセリフ」という書き込みが、視聴者掲示板などに100件近くアップされている。韓流スターのキム・スヒョンが出演しているにもかかわらず、視聴率はさほど高くない10.3%(ニールセン・コリア調べ)でスタートしたこのドラマは、第6話までで「放送業界の悪しき慣行までよく描いている」と評され、視聴率は13.5%に上昇。プロデューサーを「プロデュー士」と表し、医師や弁護士のように専門職に見えるものの、実際にしていることは一般的なサラリーマンと何ら変わらないとし、プロデューサーたちの生き様を自嘲的に表現している。

 バラエティーやドラマ、映画の制作過程を素材にしたテレビ番組を、放送業界では「メイキングフィルム番組」と呼んでいる。ドラマだけでなく、バラエティーでもこうした「メイキングフィルム番組」が相次ぎ登場。5月初めに放送された『レディー・アクション!』も、チョ・ミンス、イ・シヨンら女優たちが高難度スタントアクションを学び、アクション映画を撮影する過程を描き話題を集めた。当初、2部作のパイロット番組として放送された同番組は平均視聴率4.8%を記録し、正規の編成が有力視されている。ケーブルチャンネルCGVは、ハン・サンジンがイ・ダヒやイム・ジュファンら演技者のほか、スタッフ10人余りを引き連れ、一日10万ウォン(約1万1160円)の予算で、四日間で短編映画を撮影する過程を描くリアリティー番組『私も映画監督だ』を放送する予定。

 こうした「メイキングフィルム番組」の長所は、番組を制作するスタッフたちが自ら一番よく知っている素材を扱うため、現実感ある描写ができるということ。『プロデューサー』の脚本を手掛けた作家パク・チウンは、元々バラエティー番組の構成作家として出発した人物で、KBSの看板番組『ギャグコンサート』を手掛けたソ・スミン・プロデューサーは、本人が経験したり、聞いたエピソードを相当ドラマに反映しているという。テレビ評論家のユン・ソクチン忠南大学教授も「以前放送された、ドラマのプロデューサーを素材にした『彼らが生きる世界』や『オンエアー』のような作品も、実際のエピソードがたくさん織り込まれており、ドラマ的完成度が非常に高かった」と語った。『レディー・アクション!』を演出したコ・セジュン・プロデューサーは「アクションシーンだけでなく、映画やドラマの制作過程自体、人々がぶつかり、かばい合い、配慮する過程で生まれるドラマがあるため、視聴者たちが一風変わった素材の中でも親しみを感じることができる」と話している。

 放送局同士の心理作戦がこうした特定の素材の流行を生んでいるという指摘もある。あるテレビ局のプロデューサーは「一つのアイテムが関心を集めると、それをややひねって番組のアイデアを出す傾向があるため、似たような素材を扱う番組が続々生まれることになる」と語った。

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