「兄さん、一度だけ見逃して下さい」

 今月22日午後2時15分ごろ、ソウル・東大門歴史文化公園駅付近で違法にUターンしようとして警察につかまったウズベキスタン人のイサムハメドフさん(26)が、警察官にウインクしながら放った一言だ。ソウル中部警察署の乙支地区隊(交番に相当)に所属する警察官は「身長180センチを超えるスリムな外国人が流ちょうな韓国語で『お兄さん』などと言って出し抜けにポケットから50ドル(約6000円)を取り出し、握らせようとしたので驚いた」と話した。

 警察によると、京畿道水原市で日雇い労働をしているイサムハメドフさんは、故郷の友人たちに会うため、無免許で友人の車を借りてソウル・東大門付近の「モンゴルタウン」に向かう途中だったという。警察に対し「仕事を終えて韓国ドラマを見るのが楽しみ。韓国ドラマでは『兄さん、見逃してください』と言ってこっそり裏金を渡せば問題が解決する」と供述したとされる。

 イサムハメドフさんはウズベキスタンで自動車部品ビジネスを手掛けていたが、不渡りを出して2億ウォン(約2200万円)余りの借金を負った。2008年に語学研修ビザで韓国を訪れソウルの私立大で韓国語を学び、半年間の滞在期間が過ぎた後も韓国に残って働いた。毎月200万ウォン(約22万円)ほどを故郷に送金し、残りの50万ウォン(約5万4000円)で生活しているといい、生活費の1割を警察官に渡そうとしたことになる。警察はイサムハメドフさんを道路交通法違反と不法滞在、賄賂(わいろ)を渡そうとした容疑で立件した。

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