スターインタビュー
インタビュー:旬の俳優カン・ハヌルのこだわりとは
二十歳を過ぎても誰かの子役を演じた。ドラマ『相続者たち』(SBS)に出演していたことは、ファンでなければ知らない。一方、ドラマ『未生』(tvN)で演じたチャン・ベッキの人気により、劇中使用していたメガネ、スーツが10-20代の男性から関心を集めている。ユン・ヒョンジュを演じた映画『セ・シ・ボン』では、「演技に歌、ギターまで上手い真の俳優」という称賛の声が上がっている。
カン・ハヌルの2015年は年明け早々から熱い。ドラマ『未生』終了後、映画『セ・シ・ボン』『純粋の時代』『二十歳』など新作の公開が相次ぐ。現在公開中の『セ・シ・ボン』は順調に観客動員数を伸ばしている。『純粋の時代』は3月初め、『二十歳』は3月末に公開される予定。わずか3カ月で4度目の変身だ。会社員チャン・ベッキからフォーク歌手ユン・ヒョンジュになったカン・ハヌルは、太祖・李成桂(イ・ソンゲ)の娘婿ジン(『純粋の時代』)、勉強しかできないギョンジェ(『二十歳』)として、それぞれ異なる服を身にまとった。身に余るほどの愛には感謝すべきだ。しかし、カン・ハヌルは人知れずストレスに悩まされている。
「甘い蜜の味を早く覚えてしまうとダメじゃないですか。世間の反響や関心を当たり前のように思ってはいけないのに…。最近は、自分を振り返る時間をたくさん作ろうと思っています。周りからは『気軽に楽しめ』と言われるんですが、僕としてはストレスなんです。演技がしたいという気持ちを抱いたときから心に誓っていたことがしっかり守られているのか、常に自分を奮い立たせなきゃいけないので」
カン・ハヌルはこだわりの強い俳優だった。撮影現場、ファンとのコミュニケーション、所属事務所との関係、全てにおいて「自分の考え」がはっきりしている。『未生』のチャン・ベッキが整ったヘアスタイルにダサイ感じのメガネを合わせたのは、カン・ハヌルのアイデアだった。監督すら望んでいなかったのに、結局は「チャン・ベッキ・スタイル」として認められるようになった。常にロマンチックなキャラクターを演じてほしい、というファンの願いとは異なる歩みを続けているのも、カン・ハヌルならではの根気からきている。「このような役を演じたらCMオファーが入らないのに」という所属事務所の心配をよそに、『純粋の時代』を選択したのもカン・ハヌルの意志だった。
「芸能人としての知名度も重要です。でも、誰かが僕に気付かないということへの悩みは全くありません。『どうすればもっと上手くできるだろうか』という考えより『僕は常に上手くできる』という自信を持っています。僕の座右の名は『小さい俳優はいても、小さい役はない』なんです。比重が小さく主演でなくても『いつか良い人になるさ』という漠然とした確信を持ってきました。そのおかげで、今までの俳優活動を振り返っても、恥ずかしくないのだと思います」
『セ・シ・ボン』が公開され、その後映画2作の公開が控えている今、カン・ハヌルへのラブコールはテレビ、映画界から相次いでいる。バラエティー番組『ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~』(SBS)への出演が決まり、イ・ジュンイク監督の最新作『ドンジュ』への出演を調整中。『未生』以降、ドラマのシナリオを選ぶ目が肥えたというカン・ハヌルは、今後スクリーンを駆け回る考えだ。いまだにライブカフェでギターを弾きながら歌う父親のおかげで知った、舞台やミュージカルで味わえる喜びも逃したくないという。
「最近、法頂(ポプチョン)僧侶の『無所有』という本を読みながら、欲張らない人生とは何かを考えました。『それは何だろう?』としばらく考えましたが、自分なりの答えを見つけました。『俳優が一番カッコいいのは、役としてしっかり存在しているときだ』と。作り上げた姿ではなく、ありのままの真心でアプローチできるよう努力していきます。それが僕のための『ヒーリングタイム』であり、世間やファンの皆さんのためになることでもありますから」