▲ソウル市内のMBC新社屋で会った結婚6年目のハン・ジヘは、実家に戻ってきたようにリラックスして見えた。ハン・ジヘは「視聴率に一喜一憂しない」としながらも「視聴率35%突破時、ソウル・明洞でパンを配りたい」と言って笑った。/キム・ジホ記者

 「まだ金一封のようなものはもらっていない」。着実にヒットを飛ばし、別名「MBC公務員」と呼ばれる女優がいる。「ドラマが終わったわけではないので…」としながらも成果給に対する期待感を示したこの女優は、今回もドラマが視聴率30%を超え、破竹の勢いを見せている。MBC週末ドラマの殊勲選手、ハン・ジヘだ。

 MBCで『メイクイーン』(2012)、『金(きん)よ出てこい、コンコン』(2013)に続き『伝説の魔女』まで、3打席連続ホームランだ。ひときわMBC週末ドラマでヒットを飛ばしているため、視聴者たちが「MBCが裏でお膳立てしているのではないか」と疑うほどだ。「京畿道高陽市のMBCのセットは実家のよう。顔を合わせる先輩・後輩、スタッフも慣れているので、自然と息が合うのかもしれない」

 あいにく昨年主人公を演じたKBSの月火ドラマ『太陽がいっぱい』は視聴率2%台で振るわなかった。婚約者が殺され、衝撃を受けひたすら悲しむ女性の役だった。ハン・ジヘは「当時、本当にたくさん泣いた。1週間に4、5日は撮影現場で泣きながら夜を明かした」と語った。今回もハン・ジヘはドラマ序盤で、交通事故で夫を失い、刑務所に入り、希望を失い泣くシーンが続いた。「視聴率は低かったが、『太陽がいっぱい』の助けをたくさん受けた。カメラの前でさまざまな泣き方をしたので、感情の起伏によってどのようにしたら効果的に涙を流し、画面に自分の顔がどう映るのか、感覚がつかめるようになった」

 キャラクターはありふれている。孤児であり、おとなしい長男の嫁でもあり、汚名を着せられながらも耐え、パティシエとなり再び立ち上がる女性だ。ハン・ジヘは「これだと思った」と語った。「視聴率が低いと悩んでしまう。何が間違っていたのか、と。いろいろな事情を抱えた主人公の成長ストーリーを描く台本を初めて読んで、今まで私が歩んできた道(キャリア)に照らしてみたとき、一番うまく演じられる役だと思った」。「キャラクターの正体」をめぐる指摘についてもうなずいた。「とにかく漫画『キャンディ・キャンディ』の主人公キャンディのような役が多かった。そのせいか、視聴者の皆さんも私をそういう人物と認識しているようだ。でも私の考えはこう。いくら悲しくても、人は肯定的に生きていかなければならない」。回答は公文書のようだった。しばらく考えた後、特別な表情や抑揚のない、予測可能な答えが返ってきた。

 ハン・ジヘの夫は検事だ。その妻はドラマの序盤、受刑者として登場。「テレビを見ながら、(夫は)特に意見は言わない。でも、必ず全て見ている。ただ一人の視聴者になってくれているというわけだ」。以前に比べ落ち着いたという話もよく聞く。「人にはいろいろな面があるではないか。初主演作『ランラン18歳』のキャラクターがはつらつとしていたからか、その残像がしばらく続いたようだ。落ち着きはしたが、ドラマが進むにつれ、私の本当の姿が出てくるはず」

 芸能生活15年目のハン・ジヘは、演技者仲間たちのことを口にした。「長くこの仕事をしていると、演技は一人でしているのではないということを切に感じる。だからありがたい。ときどき演技者たちのカカオトーク(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)団体トークルームで言っている。一緒に演じることができて本当にうれしい、と」。「模範公務員」らしい締めくくりだった。

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