一度乗った勢いはとどまることを知らない。今、勢いに乗っているタレントといえば、真っ先にキム・ウビンが浮かぶ。ドラマ『相続者たち』でスターダムにのし上がり、映画初出演作『友へ チング2』では主演に劣らぬ存在感をアピールし、強烈な印象を残した。そして、2作目の映画『技術者たち』(キム・ホンソン監督)で主演をつかみ取った。しかも単独主演だ。

 キム・ウビンのプレッシャーは相当なものだった。キム・ウビンは最近、イーデイリー・スターinの取材に対し「心配がなかったと言ったらうそになる」と話を切り出した。演技経験がそれほど豊富ではない上、まだ自分の演技に満足していない。映画を見た後も、あと50年以上は経験を積まないと満足できないだろうと悔しがった。キム・ウビンは「シナリオは面白かったが、複雑なシーンも多かったし、自分で想像がつかず、上手く演じられるか不安だった。監督と会い、作品やキャスティングについて話を聞いてから、ようやく確信が持てた。この先輩たちと一緒なら、信じてやっていけるだろうと思った」と話した。

 勇気もプレッシャーを軽減するのに一役買った。キム・ウビンは「新人なので勇敢に挑戦してみたいと思っている。経験が豊富で、持っているものが多かったら、それを失うかもしれないという恐怖心から、慎重になると思う。でも、そのようなポジションにいるわけではないし、ポジティブな性格。『今回がダメなら、また次に挑戦すればいい』という考えなので、失敗への恐れは大きくない」と言って笑った。

 キム・ウビンはよく知られているように、モデルとしてデビューし、現在は俳優の道を歩んでいる。中学1年でモデルになりたいと話したとき、誰もがいぶかしげな顔をしたが、両親だけは「やりたいことをやりなさい」と夢を支持し、後押ししてくれた。キム・ウビンのポジティブなマインドと勇気は父や母の影響を受けたものだった。

 「考えてみると、内向的な上、地方で育ち、芸能界にコネもないのに、息子がモデルの仕事をすると言ったとき、(両親が)どれほど混乱したことか。息子に対する期待も大きかったはずなのに、許可し、応援してくれた。そのおかげでこうして俳優になり、早い段階で多くの人から愛されるようになったのだと思う。先日試写会があったとき、父と母も来たのだが、息子の姿を見てとても喜んでいた」

 『技術者たち』は、仁川税関に隠された1500億ウォン(約150億円)を制限時間40分以内に盗むために集まった、各界随一の実力を誇る専門家たちの物語を描く、典型的なケーパー・ムービー(犯罪のプロたちが主人公の映画)。キム・ウビンは優れた頭脳で作戦を練り、チームを率いるジヒョク役を演じた。映画『10人の泥僕たち』のマカオ・パク(キム・ユンソク)と比べても、魅力的なキャラクターだ。中でも、ファンサービスとして頑張って撮影したシャワーシーンは、女性ファンを胸キュンさせる。劇中、キム・ウビンの側にはコ・チャンソク、イ・ヒョヌが、その反対側には重厚な存在感のキム・ヨンチョルがいる。映画は両者を中心に緊張感あふれるタッチで描かれる。

 「『技術者たち』の撮影をしながらほかの作品も撮影していたので、実は体力的に大変だった。それでも現場で『こんにちは』とあいさつした瞬間、疲れも吹っ飛んでいた。憧れていた仕事をしている幸せ、感謝が疲労に勝っていたんだと思う。その感謝を忘れず、今よりもっと信頼を与えることができる俳優になれるよう、努力していきたい」

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