▲映画『尚衣院』で朝鮮王朝時代の天才デザイナー役を演じるコ・スは「人間なら誰もが持っている欠乏と執着、考え方が違うという理由で巨大な力の犠牲となる自由人の姿を描きたかった」と語った。/イ・ジンハン記者

 「こんな話を聞いたことがある。『若者は神がつくったもので、年配の人は人間がつくった』。今は未来の自分をつくる過程だから、上手につくりたい。年配の人の行動や外見は、内面の霊魂が表現されたものだから」

 俳優コ・スからこんな言葉を聞くとは思わなかった。ドラマ『ピアノ』(2001)で見せた澄んだ目の青年の姿がまだ目に浮かぶのに、コ・スはすでに映画『超能力者』『高地戦』『家に帰る道』など20本余りのフィルモグラフィーを誇る、立派な俳優になっていた。

 デビュー16年目を迎えた今年、コ・スは初めて顔にひげを付け、時代劇に出演した。12月24日公開の映画『尚衣院』だ。朝鮮王朝時代を背景に、王や王妃ら王族の衣服を手掛ける尚衣院を舞台にした作品。

 コ・スは持って生まれた針仕事の能力で、漢陽(現在のソウル)の多くの女性たちを魅了する天才デザイナー、ゴンジン役を演じ、コンプレックスの塊である王(ユ・ヨンソク)や孤独な王妃(パク・シネ)の心もつかむ美しい服をつくる。血のにじむような努力で身分の限界を克服し尚衣院の長となったドルソク(ハン・ソッキュ)とゴンジンの対立は、映画『アマデウス』のサリエリとモーツァルトの姿を思わせる。

 コ・スはダビデ像に似ていることから、「コビデ」というニックネームがある。あごのラインが細いが、映画ではだいぶ太く見える。コ・スは「もともとよく笑い、愉快な性格だが、映画の中では追われ、悔しがり、つらい思いをする役が多かった。最近は僕の中の別の姿もお見せしようと努力している」と語った。「ゴンジンは天才というより風雲児であり、自由人。身分、地位、権力のように重要視されがちなことにこだわらない。だから慣習を気にせず、独自の考え方を持っていたのだろう」

 映画の中のゴンジンは、一般の女性たちに色気漂うチョゴリ(韓服〈韓国の伝統衣装〉の上衣)、華やかでボリューム感のあるチマ(韓服の下衣)を着せ大人気を集めたほか、体のサイズに関係なく、ただ礼法の本に書かれた通りつくられていた官服も切って縫い合わせ、新しい服によみがえらせた。ドルソクはそんなゴンジンに嫉妬しながらも、ゴンジンの服が好きになり、心で交流する関係になる。大きな笠、おしゃれな服を着て月の上を歩く想像シーンは、映画にファンタジーの魅力を吹き込む。

 コ・スは「実は以前から劣等感があり、今もないと言ったらうそになる」とコメント。「劣等感は誰にでもあるが、それをどのように表現し、克服していくかが重要だと思う。もう少し若いときは恨んだり嫉妬したりしたとしたら、今は足りない部分を自分の中で満たせるよう努力するようになった」

 とぼけたように社会的禁忌をごまかしていたゴンジンは愛に飢えた王妃に出会い、恋心を抱くようになり、心の中でその禁忌を乗り越える。ゴンジンと王妃の今にも切れそうな感情の糸は、映画の後半で破局へと導く導火線となる。「ゴンジンは王妃に一目ぼれし、王妃の目から悲しみを読み取る。だが、どうにもできない身分の壁があり、『夢を見させてくださり感謝している』と言う。宮中の華やかな衣装対決はもちろん、切ない愛のメッセージも観客に伝わればと思う」

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