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一日に入れるのは400人、済州島の秘境「拒文岳」
済州島は小さな山「オルム」の天国だ。噴火口がある小さな火山体・オルムは済州島に368カ所もある。
立ち入りが規制されている場所を除き、ほとんどのオルムは手軽に見学できる。しかし、そこを訪れるにはいくつかの関門を通らなければならない。それは済州市徳泉里一帯にある「拒文岳」だ。では、どんな所なのか一緒に行ってみよう。
拒文岳は海抜456.6メートルで、噴火口の連なりだ。全体に木々が生い茂り、岩石や土が特に黒みを帯びているため、拒文岳という名が付いた(拒文=コムンは韓国語で「黒い」という言葉と同じ発音)。見下ろしたときの絶景が実に美しいことで有名だ。ちなみに、拒文岳から眺める噴火口は「済州7大秘境」の一つ。
拒文岳を巡るには三つのコースと、その三つを全て巡るコースの計4種類がある。中でもオススメなのは、噴火口を巡る全長約5キロの2時間コースだ。もちろん、時間があれば3コース全てを巡るのが一番だろう。
拒文岳巡りには、まず電話やインターネットで予約を取らなければならない。拒文岳は世界文化遺産(2007年指定)であり、国の天然記念物(第444号)なので、立ち入れる人数を一日400人に制限している。また、毎日午前9時から午後1時までしか開放されていないので、希望する日に登るには1週間から1カ月前に予約する必要がある。
予約した日に拒文岳に行っても、別の関門が待ちかまえている。まず、チケット販売所で予約した時間帯と氏名を告げ、チケット(大人2000ウォン=約215円、青少年・子ども1000ウォン=約107円)を購入する。そして、チケットを持って拒文岳巡り案内所で氏名と連絡先を書き、「探訪立ち入り証」を受け取って初めて、あらゆる関門を通過したことになる。
それではさっそく、ガイドの案内に従って拒文岳を探検してみよう。拒文岳について詳しく知りたければ、ガイドのすぐ隣に付いていくことをオススメする。外国人観光客は、あらかじめ申し込めば外国語ができるガイドが案内してくれる。
拒文岳の植生は、造林された杉林、落葉広葉樹林、灌木林・草地、常緑広葉樹林など特徴的な四つの森林に分かれる。溶岩の流れに沿ってさまざまな陥没口が発達したため、独特な生態立地になっている。植生的には亜熱帯と温帯の植物が共存しているのが分かる。
ほかにも、拒文岳の所々には数多くの見逃せない観光スポットがある。中でも一番有名なのは、済州島の独特な火山地形の一つ「コッチャワル」だ。済州島の言葉で森を意味する「コッ」と、砂利や岩などを意味する「チャワル」は、大小の岩石が不規則に散らばる地帯に形成された森林を意味する。ここではさまざまな動物や植物が共生するなど、まるで太古の森に来たような印象だ。
さらに、太平洋戦争時に日本軍の軍事施設だった「日本軍坑道陣地」や石の間から風が吹いてくる「風穴」、そして「炭窯跡」「垂直洞窟」なども見ることができる。
拒文岳巡りが終わったら、入り口にある「済州世界自然遺産センター」にも是非寄っていただきたい。ここには済州島が世界遺産になるまでの過程が展示されている。
よく話題になる「世界遺産」には実は三つある。「文化遺産」「自然遺産」、そして文化と自然の価値を合わせ持つ「複合遺産」だ。全世界に世界遺産は1007件あり、そのうち韓国で登録されているのは11件となっている。
では、済州島の世界遺産は何件あるのか。正解は「済州の火山島と溶岩洞窟群」の自然遺産1件だ。「少なすぎるのでは?」と首をかしげる人がいるかもしれないが、済州島の世界遺産は「漢拏山自然公園」(164.40平方キロ)、「拒文岳溶岩洞窟系」(22.36平方キロ)、「城山日出峰」(1.68平方キロ)の3地域を一つにまとめて称しているからだ。こうした説明は済州世界自然遺産センターで詳しく知ることができる。
一方、拒文岳近くにはオルムを眺めるのにうってつけの道がある。それは「細花鹿山場線道路」だ。ここには、360度広がるオルムを背景にドライブを楽しむことができる。
ここは3月から4月にかけて菜の花や桜が満開となり、絶景のドライブ・コースだ。このため、「済州7大道路」の一つになっている。インターネットで「細花鹿山場線道路」と検索してもあまりヒットしないので、道路の途中にある「チョランマル(ポニー)体験公園」で検索すると良い。