▲今年下半期にドラマ化された漫画作品。(1)日本の大ヒット漫画『のだめカンタービレ』 (2)同じく日本の漫画『LIAR GAME(ライアーゲーム)』 (3)イ・ジョンボムのウェブ漫画『ドクター・フロスト』 (4)ユン・テホの『未生』 (5)漫画原作の1990年代のドラマ『ミスターQ』

 今年下半期のドラマ市場を乗っ取ったのは漫画だった。KBS『のだめカンタービレ』、tvN『未生』『LIAR GAME(ライアーゲーム)』、OCN『ドクター・フロスト』が続々と放映された。さらに、来年初めにスタート予定の『ジキルと私』『夜を歩くソンビ』『チーズ・イン・ザ・トラップ』も控えている。漫画とドラマというメディア間融合が活発になっている中、こうした現象を分析した書籍『韓国漫画メディアミックス(Media mix)の歴史』(ファンダム・ブックス刊)もこのほど出版された。ドラマや映画の原作としての漫画が持つ価値にスポットライトを当てた初めての本だ。

■漫画、それは映像の源泉

 朝鮮日報で連載スタートした4コマ漫画『愚か者の骨折り損』(1924年)が2年後、映画『愚か者』にとなったのが最初とされる漫画原作の映画化。キム・ソンファンの漫画『けちんぼじいさん』を映画化した『けちんぼ』(58年)を経て、イ・ヒョンセの『恐怖の外人球団』の映画化『外人球団』(86年)で花開いた。

 映画に比べ、漫画のドラマ化は少し遅かった。漫画作品が初めてドラマ化されたのは67年の『ワルスンおばさん』だ。漫画評論家のパク・インハ氏は「漫画原作のドラマを毎日、あるいは毎週放映するには技術的・財政的な条件が伴わなかった」と話す。

 90年代にイ・ヒョンセの同名漫画を原作にした『ポリス』(94年)がヒット、『アスファルトの男』(95年)、『ミスターQ』(98年)など漫画原作のドラマが次々と登場した。韓国映像大学漫画創作科のパク・ソクファン教授は「経済・文化の開放が進み、漫画を大衆文化の主流として受け入れるだけの心理的・技術的包容力が持てるようになったから」と分析する。

■ドラマ+漫画の相乗効果

 朝鮮時代の女刑事を描いた『チェオクの剣』(2003年)、韓国が立憲君主制だったら…という設定の『宮-Love in Palace-』(06年)、済州島に漂流した西洋人と朝鮮人の海女のラブストーリー『タムナ ~Love the Island~』(09年)など漫画原作のドラマは斬新さを武器に作品性に優れ、話題を呼んだ。ドラマ評論家のユン・ソクチン氏は「ドラマは原作漫画では表現できないカラフルさや音響効果を駆使する一方、漫画的なセリフや演出で漫画ファンにもまた違った面白さを感じさせる」と話す。

 漫画もドラマのおかげでおいしい思いをしている。『宮 -Love in Palace-』の原作漫画『らぶきょん LOVE in 景福宮 』は2006年に日本に輸出され、3年後にミリオンセラーになった。今年、売上100万部を突破した漫画『未生』もそうだが、原作漫画の売上部数はドラマ放映直後に4倍以上にはね上がるケースがある。

■マルチメディア時代、メディアミックスは続く

 テレビのチャンネル数が増え、ドラマの素材や表現方法が多様化していることも漫画のドラマ化が増えている原因の一つだ。漫画が初めてケーブルテレビチャンネルでドラマ化されたOCN『キッドギャング』(07年)は初回にケーブルテレビとしては異例の視聴率(1.5%)をマーク、同時間帯1位になった。それも「荒唐無稽(むけい)なギャングの姿をドラマの中でそっくりそのまま見せることができたから」(漫画評論家キム・ソンフン氏)だ。

 人気の主流はウェブ漫画だ。来年スタート予定の『夜を歩くソンビ』『ジキルと私』『チーズ・イン・ザ・トラップ』もウェブ漫画のドラマ化。米国と供給契約を結んだウェブ漫画『後遺症』『恋愛細胞』などはテレビドラマの枠を超えてウェブドラマへも広がっている。『恋愛細胞』を制作するサイダスHQのパン・ジェソン・プロデューサーは「モバイル環境が普及したことで、ドラマ制作がテレビにこだわる必要はなくなった。若い想像力やインターネットの波及力など、ウェブ漫画のメリットをドラマにも取り入れる流れは続いている」と語った。

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