トラベル
金色に光るススキの波、済州島の秋を楽しむ
青い空から降り注ぐ秋の日差しは、黄色や赤といったイメージだ。秋の日差しが紅葉や銀杏を照らせば、その色はいっそう深みを帯びる。
済州島の秋といえば、一般的には漢拏山の紅葉と黄色いミカンを思い浮かべるかもしれない。だが、済州にはもっとさまざまな秋の姿がある。その中でも映像に撮っておきたい済州の名所を訪ねてみた。
■満開のススキが見られる「サングムブリ」
済州島は島全体がススキ野原といってもいいほどススキが有名だ。済州市内を離れて道を走っていると、至る所で満開のススキを目にすることができる。中でも見事なススキが見られるのが「サングムブリ」だ。
韓国の天然記念物第263号に指定されているサングムブリには、毎年秋になると黄金色のススキの波を見ようと大勢の観光客が押し寄せる。サングムブリに上る道が平坦な上に、階段を少し登れば広大なススキ野原が目の前に広がるからだ。
ここでは、ススキに向かってシャッターを切り続ける人や、静かにススキの中を歩くファミリーやカップルの姿が多数見られる。風が吹けばススキはまるで波のように揺れる。
サングムブリはススキのほかにも、巨大な噴火口や、延々と続く済州独特の石垣、木がの生い茂る森、済州の伝統的な墓などがあるソグムブリなど、見所が多い。もしここを訪れる予定なら、2時間ほど時間に余裕を見ておくとよい。
■自然がつくった癒やしの道、「5・16道路」の森のトンネル
済州には変化に富んだ美しい道が多い。中でも「5・16道路」は両側に木が生い茂り、ずっと目を楽しませてくれる。ハイライト区間は1.2キロに及ぶ森のトンネルだ。ここは漢拏山周辺の素晴らしい景色を見ながらドライブを楽しめるため、済州島でお勧めの7大道路にも選ばれている。
このように自然がつくったトンネルに出会うと、ひとりでにため息が出る。また、揺れる木の葉の間から差し込む光を見ると、しばし車を止めて道を歩きたいという衝動にかられる。だが残念ながら、この道には車を止められる場所がない。その代わり、1.2キロ区間を自転車やオートバイでゆっくり走り、自然の美しさを堪能するのもよい。
■歩いて楽しむ済州の秋「漢拏生態の森」
火山島である済州島は、温帯の植物から高山植物までさまざまな植物群が自生している。これらの植物を一度に見られる場所がある。「漢拏生態の森」だ。
「漢拏生態の森」は、家畜の放牧で傷んだり放置されたりしていた国有林を復元するために造成された。1997年から12年がかりで準備し、2009年にオープン。漢拏山の北側の海抜500-900メートルの低地で見られる温帯植物と、高地で見られる寒帯植物の双方を見ることができる。
漢拏生態の森には済州の森をそのまま移したかのような小道がある。中でもスッモル林道は、全長4.2キロを歩く間ずっと済州の生態を観察できる。特に秋にはイチョウの葉やモミジの葉の間から光が差し込み、森が鮮やかに彩られる。
漢拏生態の森の入り口にある駐車場には展望台が立っている。晴れた日には済州市内や漢拏山が良く見える。