「ヒーローを演じても、財閥の御曹司を演じても、お人よしな僕のキャラクターがある…観客が望むその姿が好きだ」

 チャ・テヒョンはあこがれの俳優ではなく、友人にしたい俳優に近い。映画『猟奇的な彼女』(2001)以降、映画で主人公を演じてきたが、腹筋をあらわにしたり、鋭い眼差しで女性のハートをキャッチすることはない。チャ・テヒョンは純朴で楽しい友人のようだった。『スロービデオ』(10月2日公開、キム・ヨンタク監督)でも超能力に近いパワーを持ったヨ・ジャンブ役を演じたが、典型的なヒーローとは程遠い。ヨ・ジャンブはチャ・テヒョンのように純朴でこっけいだ。

 「ドラマ『日差しに向かって』で御曹司役を演じたことがあるが、そのときもほかの御曹司たちとは異なり、どこかお人よしだった。どんな役を演じても、楽しく生きてきた僕の人生が反映されるようだ。長所であり、短所でもあるが、どんな人物でも僕がその人物に入り込むというより、その人物が僕の中に入ってきてチャ・テヒョン化するということ」

 チャ・テヒョンは声優だった親から最初に演技を学んだ。タレント採用試験で、プロデューサーたちはチャ・テヒョンに対し、演技よりもギャグを要求した。チャ・テヒョンが面白い話をしたとき、あるプロデューサーは「たった今、ある志願者が同じ話をしたときは全く面白くなかったが、君は笑わせてくれるね」と語った。俳優になった後、チャ・テヒョンはロマンチックコメディー(『猟奇的な彼女』)やヒューマンコメディー(『過速スキャンダル』)のような映画で頭角を現した。『スロービデオ』もチャ・テヒョンが笑わせ、泣かせるヒューマンコメディー。チャ・テヒョンは「そういう映画を撮るのも、観るのも好きだ。ただし、15年間主人公を演じながら、『これでいいのかな』と思うほど変化がなかった。でも、視聴者や観客が僕に望むものが何か知っているので、もうそんなことに気を使わない」と話した。ときどき悪役のオファーを受けることもあるが、チャ・テヒョンは「最初は優しい姿を見せ、後で恐ろしい眼差しを見せるようになる、ありふれた役だから」として断った。

 「僕はメッセージ性がある映画を特に好きなわけではなく、演技をしながらメッセージを伝えようとも思わない。それが監督と俳優の違う点。僕は映画のメッセージとは関係なく、2時間観客が楽しんでくれればと思う。ただし、悪態をつくような演技は好きではない。僕が悪口を言って面白いだろうか。そんなことしなくても僕は面白いのに。ははは」

 チャ・テヒョンはインタビュー後、『猟奇的な2番目の彼女』の撮影に入った。ヒロインはガールズグループf(x)のクリスタルだ。『猟奇的な彼女』のキョヌは、チャ・テヒョンが「僕の経歴と人気のスタート地点」と言うほど、チャ・テヒョンの顔と名前を大衆に知らしめたキャラクターだ。この作品の後、チャ・テヒョンは食事をするシーンを撮っても「食事をするキョヌ」、なく演技をしても「泣くキョヌ」のように見えた。チャ・テヒョンは「キョヌがチャ・テヒョン化したもの」と語った。「僕と本当に似たキャラクターなので、演技は特に必要なかった。70-80%ほど似ていたと思う。これまで本当に続編のオファーが多かったのに断ってきたが、最近になってキョヌにとても会いたくなった。今後結婚したキョヌ、老けたキョヌまで、引き続きお見せするかもしれない」

3人の子どもの父親ながら、チャ・テヒョンは今でも近所のお兄さんのような印象だ。チャ・テヒョンは20代前半のとき、童顔を理由にドラマを降ろされたこともあるが、今ではむしろ「3人の子どもがいる父親の感じがしないため」幸いだという。/キム・ジホ記者

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