▲カン・ドンウォンは7月に公開された『群盗:民乱の時代』の興行成績が期待通りでなかったため「うつになりそうなほど。観客がなぜ作品を受け入れてくれなかったのかすごく悩み、反省した」と語った。この作品では髪を振り乱しながら悪役チョユンを演じた。

 デス(カン・ドンウォン)はテコンドーの有望選手で、その恋人ミラ(ソン・ヘギョ)は歌手を夢見ていた。2人が17歳のときに子どもが生まれ、名前を「アルム」(チョ・ソンモク)と名付ける。アルムが生まれてからデスは稼ぐために働き、ミラは育児に専念する。老化が極度に進む先天性早老症のアルムは16歳にして80歳の体になる。映画『ドキドキ私の人生』(イ・ジェヨン監督)は、青春を味わえなかった若い親たちと年老いた息子の物語だ。作家キム・エランの同名小説が原作となっている。

 17歳の高校生デスと33歳の父親デスを1人で演じたカン・ドンウォン(33)は「今まで演じた役ではデスが僕自身と一番似ています」と語った。「そそっかしいところも、世間知らずなところも、ちょっと抜けているところも似ています。それにゲームが好きなところも」。デスとカン・ドンウォンの共通点をもう一つ挙げるとすれば、青春時代をまともに味わえなかったということだろう。「高校のときは大学入試のために生きて、大学に入るとすぐ何をすべきか悩むひまもなく仕事(モデル)を始めました。それからはほとんど休まずに仕事を続けています。以前、撮影中にユ・ヘジン先輩に『20代のときは旅行とか、ちょっとは遊んだのか』と聞かれました。そう言われて振り返ってみましたが、仕事の記憶ばかりでした。少し残念ですけど、取り返しのつかないことだし、戻りたいという気持ちもありません。でも、もし戻れるとしたら、女性とお付き合いしてみようかな。いえ、冗談です」

 「もともと、特に夢はありませんでした」と言いながら、青春をささげて仕事をしてきたのはなぜなのだろうか。カン・ドンウォンは「仕事を始めたなら、勝ち残って成功しなきゃ。勝負欲は強い方です。今まで18作品に出演しましたから、年に1作品以上はやってきたことになります」と語った。カン・ドンウォンが演技をしなかったのは兵役期間中と、これといった作品がなくて1年間仕事ができなかったときだけだ。その1年間にカン・ドンウォンは家具作りを習った。鏡を作って使おうと思ってやり始めたが、「一度始めたことは最後までやらないと気が済まない性格」のため、何かに取りつかれたかのように家具ばかり作った。家具作りの師匠に「大工にならないか」と言われたほどだ。

 デスはカン・ドンウォンが演じた役の中で一番「普通の人」だ。10代で父親になり、難病に侵された息子を守る役が「普通の人」と言えるほど、カン・ドンウォンはこれまで非現実的な役ばかり演じてきた。超能力者(『超能力者』)、北朝鮮のスパイ(『義兄弟 SECRET REUNION』)、死刑囚(『私たちの幸せな時間』)、道士チョン・ウチ(『チョン・ウチ 時空道士』)を経て、7月公開された『群盗:民乱の時代』では武術にたけた悪人チョユン役を演じている。カン・ドンウォンは「久しぶりに現実的な役だったので楽な気持ちで演技しました。カメラアングルなどを気にしなくてもいいので良かったです」と語った。苦労したことがあったとすれば「一度も経験したことがない、親としての感情を引き出すこと」だった。「息子としては33年間生きていますが、親としては一度も生きたことがないじゃないですか。頭では理解できますが…。心からにじみ出るような感じになるには時間がかかりました」

 カン・ドンウォンの答えはほとんどが短めだった。映画の原作となった小説を読んだかどうか聞くと「小説って読まないんです。漫画は見ます」とし、この作品を選んだ理由を尋ねると「台本がすごく良かったから」と答えた。インタビューの終盤、好きな漫画について質問すると、目を輝かせながら「『ONE PIECE』(海賊たちの冒険を描いた尾田栄一郎氏の漫画)と『バガボンド』(剣豪・宮本武蔵の生涯を描いた井上雄彦氏の作品)」と答えた。漫画の話はインタビューが終わってからも続いた。息子にゲーム機をねだる33歳のデスと、記者に最近どんな漫画が面白いか聞く33歳のカン・ドンウォンが重なって見えた瞬間だった。

◆カン・ドンウォン、グラビアギャラリー

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