スターインタビュー
インタビュー:父親役を演じたカン・ドンウォン
映画『群盗:民乱の時代』(以下『群盗』)公開から1カ月くらいしかたっていないのにカン・ドンウォンが「久しぶり」と表現したため、思わず苦笑いした。「『群盗』がそうではなかったという意味ではなく、『ドキドキ私の人生』はシンプルでピュアさが際立っていたという称賛」と言って豪快に笑った。
カン・ドンウォン主演映画『ドキドキ私の人生』は9月3日公開。『群盗』で超能力を持っているような非現実的なキャラクター、チョ・ユンを演じたカン・ドンウォンは、お腹が少し出て、きれいなガールズグループに熱狂する34歳の父親デスとして帰ってきた。キャラクターを見ただけでも、カン・ドンウォンがなぜ、『群盗』よりも『ドキドキ私の人生』の方がすっきり楽しめたと言ったかが分かる。
「上映時間が短いからか、僕が出演した映画の中で一番楽に見られたと思う。少し体重を増やし、お腹もわざと突き出しながら演じた。『群盗』のチョ・ユンはあり得ない、現実にはいない人物だった。そのようなキャラクターを大衆に見せ、納得させる過程よりは、ある程度大衆が受け入れる準備ができているデスのような人物の方が演じやすかった」
本作で、カン・ドンウォンは17歳で同い年の恋人ミラ(ソン・ヘギョ)を妊娠させ家長になった、責任感だけが強いデスを熱演した。共演したソン・ヘギョの表現を借りると、デスは「ハンサムですてきだが、何よりも子どものように世間知らずながら、犠牲的な精神で家長の本分を尽くす姿がカッコいい」人物だ。早老症のため16歳の若さで体年齢が80歳になった息子ハン・アルム(チョン・ソンモク)のため、がむしゃらに働き、心に寄り添いながらそばにいてあげるデスは、カン・ドンウォンの新たな一面を引き出した人物でもある。
「キャラクターを見て作品を選ぶスタイルではないけれど、デスはタイミングよく出会えたヤツという気がする。原作小説は読んでいない。もともと小説はあまり読まないし、読む必要もないと思った。人物に関する多くの情報を得ても役に立つことはないだろうし、シナリオで十分に説明されていた。イ・ジェヨン監督との話し合い、再共演となったソン・ヘギョと息を合わせるだけで十分だった」
現場で自由にコミュニケーションを図り、作品に対する考えを話し合う過程は、カン・ドンウォンにとって大いに役立った。演技のほか、両親のことを深く考えた時間が、カン・ドンウォンを成長させるきっかけになった。劇中、父親を演じた俳優キム・ガプスとの再会シーンを撮ったときは、リハーサルもまともにできないほど、両親への思いがこみ上げてきた。カン・ドンウォンは演じながら感じた、家族へのささやかな感動を観客にも味わわせたいと思っている。
「リハーサルをしていたが中断した。セリフが少ししかなかったのに、声が詰まり、言葉が出てこなかった。『うちの両親もこのように生きてきたんだろう』『うちの母、父も僕をこのように育てたんだな』というようなことをたくさん考えるようになった。と同時に、僕の10代、20代を振り返り、僕が親になったらどうなるのだろうかということも悩むようになり。でも、いろいろ考えただけで、何一つまともに良い結論を引き出すことができなかった(笑)。観客にも家族、彼らの犠牲、そういう部分を感じながら映画を見てほしい」