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昌原市の環境政策に公共行政のノーベル賞
慶尚南道昌原市が韓国の基礎自治体として初めて、公共行政のノーベル賞と呼ばれる「国連公共サービス賞」を受賞した。
6月26日に京畿道高陽市のKINTEXで行われた「国連行政フォーラムおよび授賞式」で、昌原市は国連公共サービス賞を受賞。昌原市は「最高の村づくり事業」で市民参加促進分野に応募した。
この事業は村ごとに自発的に気候変動対応、ごみ削減、省エネなどの目標を設定し、問題を改善するというもの。
事業は2011年の条例制定に伴い本格的に始動。昌原市の管轄内にある62の邑・面・洞(行政区画)が自発的に参加するなど、従来の行政中心の環境政策からより細かい行政区画単位の環境運動へと変化した。13年までに328の事業が推進され、今年は64の事業が進められている。
とりわけ今回の授賞は、たゆまぬ努力を続けてきた昌原市の環境政策が世界的に再び注目を集めたという点で、非常に大きな意味がある。06年に環境首都宣言を発表して以降、昌原市が進めてきた代表的な環境政策としては、公営レンタサイクル「ヌビジャ」や電気自動車、昌原ソーラータワーなどがある。
■公営レンタサイクル「ヌビジャ」
昌原市は08年、自転車430台、ターミナル20カ所を準備し、ヌビジャの運営を開始した。現在ではターミナル240カ所、自転車7000台以上を保有している。5年で10倍以上の規模になったわけだ。ヌビジャの会員は現在26万人、単発の利用者は25万人に達し、昌原市の代表的な交通手段となった。
さらにヌビジャの自転車にはGPS(衛星利用測位システム)がついており、移動状況を随時確認することができる上、24時間どこでもレンタルと返却が可能だ。このため中高生の通学手段はもちろん、運転代行ドライバーの移動手段としても注目されている。
■慶尚南道で唯一の「EV先導都市」
昌原市は11年、環境部(省に相当)の「EV(電気自動車)先導都市」に選定されて以来、電気自動車の普及に取り組んできた。その結果、現在では民間の30台を含め、基礎自治体で最大規模となる111台の電気自動車を運用している。
また、今年5月に昌原市は基礎自治体で初めて「電気自動車の利用活性化に向けた支援条例」を公布。主な内容は▲1年ごとに電気自動車活性化計画を樹立・施行▲電気自動車に関する経費支援や駐車料金割引など運行に関する支援▲充電施設の管理委託や予算支援▲電気自動車に関する人材育成と広報活動の経費支援―などだ。
昌原市はこの条例に関する初の事業として、今年7月までに電気自動車100台を民間に普及させることを決めた。
■韓国最大規模の太陽光発電「昌原ソーラータワー」
昌原市鎮海区陰地島に建設された昌原ソーラータワーは、高さ136メートルのタワー棟と延べ面積6336平方メートル規模の展示棟からなる。外壁には太陽光集熱板を設置し、環境に優しい太陽熱を利用して600キロワット時の電気を生産している。1日の生産量は1264キロワットで、これは一般家庭200世帯分の電力を賄える量だ。
一方、環境首都を宣言した昌原市は、15年までの目標として「大韓民国の環境首都」、また20年までの目標として▲水と風が循環する都市▲エネルギー・資源循環型都市▲さまざまな生物が生きる都市▲市民と共に歩む先進環境都市―の四つを定めた。
併せて昌原市は▲青い空、きれいな空気▲エコロジー河川造成と安全な水▲生命力のある緑地ネットワーク▲自然な都市空間▲グリーン交通システム▲リサイクル可能資源の管理▲持続(再生)可能エネルギー▲Ecoコミュニティー―の八つの戦略を掲げ、世界的な環境首都になると発表した。