スターインタビュー
インタビュー:「女性らしさ」見せたチャ・スンウォン
YGエンターテインメント、ドラマ『お前たちは包囲されている』、映画監督チャン・ジン―。
これらは2014年に俳優チャ・スンウォン(44)を読み解くキーワードだ。チャ・スンウォンは今年初め、PSY(サイ)やBIGBANGなどが所属する大手芸能プロダクション、YGエンターテインメントと専属契約を結んだ。最近、SBSの水木ドラマ『お前たちは包囲されている』に出演し、6月4日には映画『ハイヒール』でスクリーンに戻ってきた。
チャ・スンウォンは2011年にドラマ『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン』で「トッコ・ジン(ドラマでの役名)シンドローム」を巻き起こし、俳優としてまさに「最高の愛」を視聴者から受けた。だが、その後はあまり作品に出演していなかった。今回、ドラマ出演は3年ぶり、映画は『戦火の中へ』以来4年ぶりだ。
「『最高の愛』は、撮影に熱心に取り組むあまり心身ともに非常につらかった。そのほか個人的によくないこともあったし。(今回の)ドラマ撮影の序盤はあまりのストレスで筋肉が凝り固まり、首の後ろが腫れたりもしたが、幸い視聴率が良いので助かっている。映画も公開され、これもとても楽しみだ」
映画公開を前に、ソウル市内のカフェでチャ・スンウォンに会った。チャ・スンウォンは「外食に行く気分」とワクワクする気持ちを表現した。チャ・スンウォンによると、映画『ハイヒール』は色の感じと質感が独特だという。ジャンルは闇社会などを描く犯罪アクション。『拍手する時に去れ』(2005年)、『息子』(07年)に続き、7年ぶりにチャン・ジン監督とタッグを組んだ。
映画での役は、ドラマで演じているような強力系(凶悪犯罪担当)刑事だ。しかし『ハイヒール』といういかにも女性的なタイトルと、化粧室の明かりの前で傷ついた内面をさらけ出しているポスターが暗示するように、主人公の内面は男らしい刑事のイメージとは180度異なる。
演出を担当したチャン・ジン監督は「映画のタイトル『ハイヒール』は、完璧な男のルックスを持つ主人公が最後まで隠さざるを得なかった、内面の女性らしさを象徴している。誰が見ても完璧な男でありながら、内面に意外な繊細さや感性のある俳優を探していた」と語った。二面性を併せ持つという難しい条件に見合った人物が、チャ・スンウォンだったのだ。しかも「初めからほかの俳優の名前は挙げなくてもよいほど」チャ・スンウォンしか頭になかったという。
『ハイヒール』は簡単に言えば「女になりたいマッチョな男のストーリー」だ。これまで出演した作品では強くてインパクトのある演技を見せることが多かったチャ・スンウォンと、はつらつとした元気な映画を作り続けてきたチャン・ジン監督の二人にとって、今回の映画は「挑戦」だった。チャ・スンウォンは「勇気がなくて、実は一度断った」と打ち明けた。それでも『ハイヒール』を捨てられなかったのは、長い間共に仕事をしてきた同い年の親友、チャン・ジン監督への信頼からだ。
「映画『雲を抜けた月のように』の撮影の際、ファン・ジョンミンさんがこんな風に言っていた。『スンウォンさんは僕にないものを持っているが、ふと女性らしさが見えることがある』と。それにチャン・ジン監督は『これはお前にしかできない』と言ってくれた。僕が知っているチャン・ジン監督の作品なのだから、映画に関係なく、ジウク(劇中での役名)というキャラクターを十分につくり上げてくれると思った」
劇中、女装姿も登場する。これについてチャ・スンウォンは「ジウクの女性らしさを表面にさらけ出すのではなく、内に秘めるような演技をした」と話し、劇中の「変身」に期待を抱かせた。
チャ・スンウォンは「人は誰でも女性らしさと男性らしさの双方を併せ持っているのではないか。それは年を重ねて変わる場合もある。以前は椅子に座ると足を大きく広げて後ろにふんぞり返る方が楽だった。まるで自分の内面の男性らしさをさらけ出すように。だが最近はその姿勢が楽ではなく、幼稚にも思える。それに涙もろくもなった」と、自分の内面にある女性らしい面について話した。
映画『ハイヒール』は、くしくもチャン・ドンゴン主演の映画『泣く男』と同じ日に公開された。ジャンルも同じアクション系、それにスター性と演技力を兼ね備えた40代の中堅俳優が主演という点も同じで、両作品は何かと比較されている。
ライバル作に勝つ自信があるかと尋ねると、チャ・スンウォンは「どう答えればいいのかな」とつぶやき、続けて「僕たち二人は基本的なスタイルが違う。(興行成績を)争うことに大きな意味はないと思っている。チャン・ドンゴンさんも映画は久しぶりだし、どちらの映画も成功してほしいと心から思う。それに、興行成績に対する欲は以前に比べてぐっと弱くなった。テレビの方に出ているからかな」と余裕の笑顔で答えた。