韓半島(朝鮮半島)で最初に鉄器文化を受け入れた「第4の帝国」こと伽耶。鉄の王国と呼ばれた伽耶では輝かしい文化が発達し、伽耶はこの文化を基に海上貿易を発展させ、東アジアで国際交流を行っていた。

慶尚南道金海は「第4の帝国」と呼ばれる伽耶の文化の中心地だ。写真は金海天文台からの風景。

 それから長い年月が流れた今、慶尚南道金海を訪れれば伽耶の文化を感じることができる。市内各地には国指定の文化財が点在し、まばゆい歴史に触れられるからだ。シティーツアーのバスを利用して、リーズナブルかつ手軽に観光を楽しんでみよう。
■「金海シティーツアー」で手軽に観光を
 金海シティーツアーは毎日午前10時に金海総合観光案内所を出発する。ただし、予約者が15人未満の場合はツアーが実施されない。ツアーは遺跡探訪コース、名所探訪コース、体験コースの1日コースと、首露コース、黄玉コースという1泊2日のコース、合計5コースがある。

金海シティーツアーは金海総合観光案内所前から出発する。

 最も人気があるのは遺跡探訪コース。観光案内所を出発し、首露王妃陵、亀旨峰、国立金海博物館、伽耶ヌリ(子ども向け博物館)、韓屋(韓国の伝統家屋)体験館、首露王陵、鳳凰台遺跡、故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の生家を巡る。
■北東アジア最高の鉄器文明国「伽耶」
 午前中は、(伽耶を建国したといわれる)首露王の王妃・許黄玉の墓「首露王妃陵」(史跡第74号)をはじめ、伽耶文化の始まりの地とされる亀旨峰(史跡第429号)、国立金海博物館、伽耶ヌリを見学する。

観光ガイドの説明に耳を傾けるシティーツアーの参加者たち。

 亀旨峰は、西暦42年に金の卵6個が入った金の箱が降ってきたとされる場所で、伽耶文化の始まりの地といわれている。この卵からは首露王をはじめ、六伽耶連合の始祖や王6人が生まれたという伝説がある。

国立金海博物館では伽耶文化を時代別にまとめている。

 亀旨峰を下りると、伽耶文化を時代別にまとめた「国立金海博物館」と体験スペース「伽耶ヌリ」がある。金海博物館は伽耶文化の理解を深め、その優秀性を確認するために、1998年に建設された。金海博物館の本館は地上3階建てで、伽耶の遺物1300点余りが展示されている。展示室はテーマ別に分かれている。
 本館を見学したら、次はお隣の「伽耶ヌリ」だ。伽耶ヌリは子ども向けの博物館で、映像スペースのほか体験学習室、企画展示室などがある。

鉄器文化が発達した伽耶では、戦に参戦する馬にもよろいを着せていた。

 午前のツアーが終わったら、金海韓屋体験館を訪れる。この体験館は、韓国の祖先たちが住んでいた韓屋とその生活様式を再現した伝統宿泊体験施設だ。体験館では伝統的な韓定食を楽しめるほか、常設の国楽(韓国の伝統音楽)公演、国楽教室、茶礼・茶道教室、工芸体験などさまざまなプログラムが体験できる。

国立金海博物館では忘れられた伽耶の文化や歴史などについて展示している。

■韓半島初の国際結婚!? 首露王のラブストーリー
 体験館で昼食を済ませた後は、首露王陵(史跡第73号)に向かう。首露王陵は伽耶の始祖・首露王の墓だ。正門にはインドの阿踰陀(アユダ)国の竜王を表す2匹の魚が描かれた「神魚模様」がある。

「金海韓屋体験館」は伝統的な韓国家屋と当時の生活様式を再現したもので、さまざまなプログラムが用意されている。

 「神魚模様」がある理由は、首露王の王妃が阿踰陀国の王女だったからだ。二人の結婚は韓半島初の「国際結婚」といえる。

伽耶の始祖・首露王の墓「首露王陵」。

 『三国遺事』によると「西暦33年にインドで生まれた許黄玉は16歳のとき、駕洛国(伽耶諸国の一つ)の首露王に嫁ぐため、長い長い航海に出る」と記録されている。これは、インドでしか採れない婆娑石が韓国にあることによって証明できる。

金海シティーツアーで最後に訪れる「盧武鉉元大統領の生家」。

 王陵を見学した後は「鳳凰台遺跡」と「盧武鉉元大統領の生家」を訪れる。鳳凰台遺跡ではかつての伽耶の人々の生活を知ることができる。また盧武鉉元大統領の生家では、故・盧元大統領の一生について理解を深めることができる。

ホーム TOP