▲(上の写真)映画『DOHEE-YA』のワンシーン。(下の写真)20日(現地時間)、カンヌ国際映画祭で、(左から)笑顔を見せるペ・ドゥナ、ソン・セビョク、キム・セロン。ペ・ドゥナ、ソン・セビョク、チョン・ジュリ監督、キム・セロンの母親は全員1979年生まれ。チョン監督らは「ハードな撮影環境だったが、家族のように過ごせた」と語った。、写真提供=ムービー・コラージュ、NEWSIS

 飼い主にかわいがられていた猫は、新しい猫が現れると関心を持たれなくなる。ある日、飼い主の靴の中に死んだネズミが1匹入っていた。飼い主は「恨みに思った猫が嫌がらせをした」と思い込み、めった打ちにする。すると翌日には、靴の中に皮をはがれたネズミが入っていた。飼い主の愛を取り戻したいと思った猫は、貴重な食べ物であるネズミを一生懸命ささげていたのだ。相手と心を通い合わせられない、ひどく孤独な二人の物語『DOHEE-YA(A Girl at my Door)』(22日公開)の始まりだ。

 チョン・ジュリ監督の『DOHEE-YA』は、警察隊の元隊員ヨンナム(ペ・ドゥナ)が「私的な事情」で片田舎の派出所勤務に飛ばされ、少女ドヒ(キム・セロン)と出会うことで始まる物語だ。ヨンナムは、外国人労働者に仕事をあっせんしている義理の父親ヨンハ(ソン・セビョク)に暴力を振るわれているドヒを家に連れ帰り、ヨンハと事あるごとにぶつかる。だが、ヨンハがヨンナムの「私的な事情」を知ったことで、ヨンナムはピンチに追い込まれる。「ドヒ」はチョン監督の中学時代の同級生の名前だ。チョン監督は「優しくて大人しい子だった。私と友達になりたいと思っていたようだが、そういう気持ちを表現できなかった。忘れられない友人」と語った。

 チョン監督の長編映画デビュー作『DOHEE-YA』は第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に招待され、新人監督に贈られるカメラ・ドール賞にノミネートされた。フランスの日刊紙「リベラシオン」は「繊細な演出と素晴らしい演技で暴力性がよく表現されている。抑えた美しさがあるが、ある場面では非常によく説明されており、含みのあるストーリーを見せてくれる。恐ろしいほど美しいシーンと素晴らしい俳優たちの演技が見られる」と評価した。家庭内暴力を告発するかのように始まるが、最後のシーンまでどんな映画なのか判断を下せないようになっている。不透明な結末について、チョン監督は「孤独な人々が互いを認め、他人に共感できるようになる。この映画に希望があるなら、そうした部分ではないだろうか」と答えた。

 特に、米国のエンターテインメント専門誌「バラエティ」や「ハリウッド・リポーター」はペ・ドゥナの演技を絶賛した。ペ・ドゥナが演じたヨンナムは、派出所に勤務する警察官ながら、孤独を押し殺して眠りに就こうと、毎晩ミネラルウォーターのペットボトルに入った焼酎をあおるように飲む。私的な事情により警察署で侮辱されるシーンでは、恥と尊厳が共存した表情を見せた。チョン監督は「このシーンを撮影したときはモニターの前で泣いてしまった。この女優は完全にヨンナムになったと思った。台本が完成した後、ヨンナム役に真っ先に思い浮かんだのがペ・ドゥナだった。出演オファーを電子メールで送ったところ、3時間後に『OK』の返事が来た」と語った。初めて長編映画を撮る監督の作品に出演を決めた理由について、ペ・ドゥナは「台本を読んで胸が躍った。この作品が映画になるのを見たかったから」と答えた。

 『春香秘伝The Servant 房子伝』(2010年)のピョン使道役以降、コミカルな役ばかりだったソン・セビョクだが、今回の作品では悪役に徹した。これまで青少年観覧不可映画にばかり出演してきたキム・セロン(13)は、少女から大人の女に差し掛かろうとしている純粋な存在を演じている。ソン・セビョクは「(キム・セロンを殴る)きついシーンを撮る日に心配になった。痛くないように、でも痛そうに見せて殴らなければならないから。そのとき、セロンが僕のところに来て『私、殴られる演技は得意なんです』って。ジーンとした」と語った。

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