【ソウル聯合ニュース】韓国で先月末に公開され、観客動員数トップを走る映画「逆鱗」(原題)に登場する朝鮮王朝第22代王、正祖は玄妙なキャラクターだ。一見、徹底的に想像によって作り上げられた人物のようだが、よくみると当時の正祖をめぐる時代的状況がかなり反映されているようでもある。これは、正祖を演じるため、緻密な役作りに徹した俳優ヒョンビンの努力のたまものかもしれない。

 12日にインタビューに応じたヒョンビンは「何よりも、王の姿よりも人間としての正祖の姿を見せたかった」と語った。

 「逆鱗」は王権がやや不安定だった正祖時代初期を背景に、正祖と祖父で第21代王英祖の継室、貞純王后率いる老論派の対決を描いた。

 ヒョンビンは同作で初の時代劇に挑んだ。軍除隊後の映画復帰作でもあり、「愛してる、愛してない」(2011年)以来3年ぶりの映画出演作となった。

 さまざまなシーンの中でも特に、彫刻のような鍛え抜かれた背筋を見せるシーンは好評を受けている。王の肉体にしては非現実的なようにみえるが、正祖が武芸に秀でた王だったことを踏まえると納得できる面もある。

 映画の話になると背筋のシーンだけが話題になると笑うヒョンビン自身も歴史の中の王に対して、「太陽も浴びず、良いものだけを食べ、少し太っていたのではないか」という固定観念があった。もちろん、王の「背筋」に関する話など聞いたこともなかった。

 しかし、シナリオを読み返すうちに正祖が自身の命を守るためにすさまじく生きたのではないかと思うようになった。「そんな苦しい環境の中で王がどのように生きたのかを見せたかった」と、役作りのために体を鍛えた理由を説明した。

 同作は公開直後、やや批判的な評価が続いた。チョン・ジェヨンやチョ・ジョンソクら出演俳優に視線が分散し、まとまりがないという指摘が多かったが、今や累計観客数300万人を突破し、今月に入り2週連続で興行成績トップを維持している。

 同作を通じてどのような評価を受けたいかと尋ねると、しばらく考え込んだ後「これまでと異なる正祖の姿を見せた。時代劇もこなせるという評価を受けたい」と答えた。

 ヒョンビンは主演ドラマ「シークレット・ガーデン」で人気絶頂だった2011年3月、兵役の義務を果たすため海兵隊への入隊を志願した。ブランクの間、追い上げてくる後輩らを見て不安も多かったのではないかと思いきや、「そんな風に思ったことはない。自分も熱心にやれば認めてもらえるだろうと思った」と、気にしていない様子だ。

 「これまで5年ごとにヒット作に恵まれた。また、あと何年か待てばよいのでは」と豪快に笑うヒョンビン。俳優として夢見る将来の姿はどういうものなのかを問うと、「出演作を見た人々が気分が良くなり、心が安らぎ、作品にのめり込んでしまう、そんな俳優になりたい」という答えが返ってきた。

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