ドラマ
韓国ドラマに異変、ラブストーリーが消えた!?
2014年春、韓国ドラマからラブストーリーが消えたようだ。
月火ドラマ『神の贈り物-14日』、水木ドラマ『スリーデイズ』(共にSBS)、金土ドラマ『カプトン』(tvN)などでは、主人公のロマンスが物語の中心ではなくなっている。ロマンスがあっても、ストーリーに面白さを加えるためのサブ要素にすぎない。『スリーデイズ』の後枠として放送される『お前たちは包囲されている』も同じだ。
『神の贈り物』は娘が殺害された後、悲しみのあまり湖に身投げしたキム・スヒョン(イ・ボヨン)が事件発生2週間前にタイムスリップし、娘を助けるため孤軍奮闘する物語。『スリーデイズ』は濡れ衣を着せられ逃げる大統領SPのハン・テギョン(JYJユチョン)が、資本の力に脅威を感じる大統領を守るという内容だ。『カプトン』は華城連続殺人事件をモチーフにしたミステリー捜査劇。『お前たちは包囲されている』はソウル江南警察署を舞台にした新米刑事たちの成長ドラマだ。
従来の韓国ドラマのストーリー展開と比較すると「事件」ともいえる変化だ。ロマンスは韓国ドラマの中心的素材だったからだ。「メディカルドラマは主人公たちが病院で恋愛するドラマ」「法廷ドラマは主人公が法曹関係者のラブストーリー」という笑い話まで出るほどだ。時代劇も同じだった。ジャンル物を標榜したが、結局主人公たちが愛をはぐくむ内容が物語の軸だったというわけだ。
千編一律的と言われるほどラブストーリー中心だったのは「最も大衆的な素材」という理由からだ。その上、地上派放送局では老若男女を問わず見ることができるコンテンツが必要だったし、ラブストーリーが大部分の条件に合う最も安定感のある素材だった。最近ヒットしたラブストーリーは、キャラクターのエピソードとスターの知名度によって成功した。
最近ドラマの素材に変化が生じたのは、大衆のテレビ視聴パターンの変化が最も大きな理由に挙げられる。特に若者の場合、楽しめるアイテムが多くなり、活動量も増えているため、テレビの前でドラマの放送を待つ、という視聴者が減った。地上波にケーブルチャンネル、総合編成チャンネルまでさまざまなチャンネルが誕生し、一つのテレビ局が過去のように強力な媒体力を発揮できなくなったのも、普遍的なラブストーリーを減少させた要因の一つだ。これにより、ドラマの制作陣もターゲット視聴者層の設定にアンテナを張り巡らせている。まずはターゲット視聴者層をつかんだ後、口コミで視聴者層の拡大を狙わなければならない状況になった。
『スリーデイズ』のキム・ヨンソプEP(エグゼクティブ・プロデューサー)は「正統派ラブストーリー、ロマンチック・コメディー、ホームドラマなどに飽きてきた視聴者が増え、ジャンル物が好まれるようになった。制作陣の立場からすると、最近の若いトレンドに付いていきながら、脱出口を見つけなければならない」と説明。続けて「ジャンルドラマにロマンチック・コメディーの要素を取り入れる場合もあるが、十分に生かせず単純に挟み込むぐらいでは、苦言を呈される場合も多い」と語った。
このような素材の変化が韓流ドラマによくない影響を及ぼすという懸念もある。韓国ドラマのロマンス、特に男性主人公の愛の表現がアジアの女性視聴者の心を捉え、ドラマから韓流ブームが始まった。実際に日本や東南アジア地域では、韓国ドラマ制作会社に相変わらずロマンチック・コメディーの制作要請が多いという。
匿名希望の制作会社関係者は「テレビ局と海外輸出の間で悩むが、とにかく韓国の視聴者が優先。韓国市場を無視しては、韓流ドラマも作れなくなるからだ」と話した。