この2-3年「20代女優不足」に頭を痛めてきた映画界だが、ついに恵みの雨が降った。雨を降らせてくれたのは女優シム・ウンギョン(19)、キム・ゴウン(22)、コ・アソン(21)の3人だ。3人がヒロインを演じた作品が続々と公開され、変化の兆しが見えている。シム・ウンギョン主演映画『怪しい彼女』は846万人(11日現在)を動員、ロングランになっている。キム・ゴウンの『モンスター』、コ・アソンの『優雅な嘘(うそ)』も13日に公開された。3人とも男性主人公なしで作品の中核を担い、独自の存在感をアピールしている。全員が1990年代になってから生まれた「90後世代」だ。

■演技力で「アイドル女優」を圧倒

 昨年の興行ランキングで20位以内の韓国映画のうち、20代女優が主演クラスで登場した映画は『スノーピアサー』(コ・アソン)、『監視者たち』(ハン・ヒョジュ)の2作品だけだった。一昨年も『オオカミ少年』(パク・ボヨン)と『王になった男』(ハン・ヒョジュ)の2作品のみ。主演クラスの女優はキム・ヘス、チョン・ジヒョン、ムン・ジョンヒ、スエ、オム・ジョンファ、ハン・ガインなど30-40代ばかりだった。20代女優が演じるべき役も30代女優がキャスティングされた。2012年公開の『コリア』では21歳の役をハ・ジウォン(35)が、22歳の役をペ・ドゥナ(34)が演じた。「20代女優不足」について、リアライズ・ピクチャーズのキム・ホソン代表は「ルックスも才能もある10代後半-20代前半の女性タレント志望者たちは女優よりもアイドル歌手を目指す。アイドルとして成功してから演技に挑戦するものの、主演を任せるには演技力が足りないケースが多い」と話す。

 今年注目の20代女優3人は、その演技力で30-40代の女優たちが守ってきた主演の座を奪った。3人はデビュー初期の作品『不信地獄』(シム・ウンギョン、09年)、『グエムル-漢江の怪物-』(コ・アソン、06年)、『ウンギョ』(キム・ゴウン、12年)などで演技力を認められた。キム・ゴウンとコ・アソンは青龍映画祭新人女優賞を受賞している。

■恋愛物・ロマコメでなく、アクション・サスペンスに出演

 20代女優に映画の主演クラスを任せられない理由の一つに、過度の整形手術を指摘する声もある。「整形手術をしている20代女優の顔からはパトス(情念あるいは情念を呼び起こす表現方法)が感じられない」という。典型的な美人とは言えないが、豊かで繊細な表情を作り出すキム・ゴウン、シム・ウンギョン、コ・アソンを監督たちが好むのも、こうした理由からだ。

 「90後世代」の女優は役選びもこれまでの20代女優たちとは違う。女性らしさが魅力のキャラクターよりも、個性の強い役を志向するのが最大の特徴だ。伝統的に20代の人気女優たちは恋愛物やロマンチック・コメディーに出演し、純情でキュートなヒロインを演じてきたが、3人はアクション、サスペンス、ヒューマンドラマなど多様なジャンルで自由自在に変身を遂げる。コ・アソンは『グエムル』や『スノーピアサー』で泥まみれのわんぱく小僧のように飛び回っているが、『優雅な嘘』では妹の死を受け入れる女子高生を物静かに演じた。『サニー 永遠の仲間たち』で目をむいて何かに取りつかれたかのような演技をしていたシム・ウンギョンは『怪しい彼女』で方言丸出しの70代老女になり切った。最も見事な変身を遂げたのは、デビュー作『ウンギョ』で祖父のような年齢の男を誘惑する女子高生役を演じたキム・ゴウンだ。『モンスター』では9-10歳程度の知能しかない田舎娘に扮(ふん)し、少女の純粋さと狂気を表現した。

 また、CMにはほとんど出演していないというのも共通点だ。10年前に20代だったチョン・ジヒョン、ソン・イェジン、イム・スジョンらが映画でブレークした後、CM市場を席巻したのとは対照的だ。キム・ゴウンは「役を演じるとき、CMやイメージのことを考えたことはない。むしろCMのイメージが役に影響を及ぼすのではと心配になる」と話している。

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