誰もが数字に敏感だ。番組は視聴率、映画は観客動員数、世の中の男性たちは身長、女性たちは体重を気にする。ここに「年を重ねる女性たち」というカテゴリーを一つ加えたらどうだろうか。女性たちは皆「年齢」に敏感だ。バラエティー番組『日曜日が好き』(SBS)の人気コーナー「ランニングマン」で年齢が公開されうろたえた女優オム・ジョンファもそうだ。40代半ばとなった最近、オム・ジョンファは特に他人の視線が気になるようになった。映画『官能の法則』は、そんなオム・ジョンファに勇気を与えた作品だ。同作と出会い、撮影している間、オム・ジョンファは自分を振り返る余裕を見つけた。気楽に笑うことも、また恋愛を夢見ることもできるようになったというオム・ジョンファと会った。

 「40代の女性は多いのに、そんな女性たちが主人公の作品はなかなか思い浮かばないではないか。『官能の法則』のシナリオを受け取ったとき、どれほどうれしかったことか。米国ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』と比較する方も多い。彼女たちの40代と私たちの40代はあまり違わない。もちろん、重なる部分もあるはず。でも、私にとってこの作品は、食傷気味の物語ではない。『私の話』ができる映画ではないか。どうして異なるキャラクターの人生と同じということがあるだろうか。『官能の法則』は私だからこそできる映画、何より40代のオム・ジョンファだからこそ出会えた映画だと自信を持っている」

 オム・ジョンファは『官能の法則』で、外注制作会社のバラエティー局プロデューサー、シネ役を演じた。一言で言うと、食わせ者のようなキャラクターだ。ゴールドミス(高学歴で経済的な余裕のある独身女性)のように見えるが、そうではない。26歳の新入社員に、5年交際したバラエティー局長の恋人を奪われる。40歳を過ぎてもメリハリのあるプロポーションをキープしていると自負しているが、周りの男たちは常に絶対的な数値だけを好む。年下の後輩プロデューサーが接近してくるが、これが愛なのか贅沢なのか判断がつかず、本気なのか利用しようとしているのか分からない。人生の宝といえば、学生時代から歳月を共に過ごしてきた友人ミヨン(ムン・ソリ)とヘヨン(チョ・ミンス)だけだ。

 「観客には、シネの人生をファンタジーだと思わないでほしい。映画なので現実より派手に描かれるかもしれないが、誰もがシネのように恋に苦しみ、年齢に泣き、友人のおかげで笑うではないか。年を重ねるのは悪いことではないということを20-30代の女性たちが感じられたら、心が満たされると思う。いくら童顔だといっても、年齢への執着は捨てたくても捨てられない(笑)」

 オム・ジョンファもその執着を完全に手放すことはできなかった。29、30歳になることが怖かったし、39、40歳に入るということが信じられなかった。40歳を過ぎてから「自分の人生、最高に若い今この瞬間を楽しまなければいけない」という事実に気づいた。インタビュー中「先ほどこの話をした自分が、今の人生で一番若かった」「1秒前は若かったし、この話を始めたときがもっと若かった」などと言いながら、つかむことのできない時間の大切さを強調した。

 「意図しようがしまいが、年を重ねる女性に対する固定観念があるではないか。『40歳なの? 終わりだね、もう終わり!』。このように言う人もいるし(笑)。でも、皆気持ちは同じ。ずっと青春ではないか。今でも恋に迷い、ときめいて、全てをやめたいとさえ思う。その気持ちを忘れずに生きるというのが重要だった。『官能の法則』の撮影をしながら、私もオム・ジョンファという人間がどれほど価値のある女性なのか、あらためて悟ろうと努力した」

 そんなオム・ジョンファがいてよかったと思った。今の20-30代の女優たちはもちろん、一般女性たちにも、年を重ねるのはいいことだ、ということを気づかせてくれるいい手本だからだ。10年前、映画『シングルス』が公開されたときも、観客は30歳を前にした女性の思春期を演じたオム・ジョンファを見ながら「30」という数字に憧れを抱いた。オム・ジョンファが『官能の法則』を撮影しながら「40」への余裕を見つけたので、次は観客の番だ。オム・ジョンファも自らそんな存在になれるということに責任を感じている。

 「私もそうだった。20歳、30歳になったとき、40歳の先輩って誰がいるかなと思った。私はモデルとして活動されているイ・ソラさんが同い年だということに、力づけられる。外国の女優たちとも常に比較し、癒されようと思っている。そういう対象がいるというのは本当に幸せ。世間が私を見る視線も同じだと思う。変化の一番前にいる年齢になった。縛られないようにしたい。どれだけカッコよくやり遂げられるか、多くの人に見守っていただけたらうれしい」

ホーム TOP