俳優コ・ジュウォンは世間から「実直な男」というイメージを持たれてきた。男らく、寛容で優しそうな第一印象からそうだが、今まで演じてきた役がおおむね、見た目通り実直でひたむきなキャラクターだったからだ。そんなコ・ジュウォンが、旧正月(今年は1月31日)連休に放送されるTV朝鮮の3部作ドラマ『青い鳥はいる』(ホ・スンミン脚本、ソン・ヒチャン演出)を通じて、ガラリと変わった姿を見せる。同ドラマは、精神科医ドクター・オが心に大きな傷を抱えた人たちと会い、さまざまな事情に耳を傾け、心を通わせていく過程を通じて、校内暴力、非正規職の問題、自殺サイトなど深刻な社会問題を取り上げる。

 コ・ジュウォンが演じるドクター・オも、さまざまな事情を抱えた人物。巫女(みこ)の息子として生まれ、幼いころから特別な神気や聡明さ、読心術の能力を持っていたが「運命を受け入れて神職を継ぎなさい」という母親と対立し、やっとの思いで医師の道を歩んできた。医師だがマンガ喫茶に一日中閉じこもって過ごしたり、情緒不安定な姿を見せたりするなど、不完全なキャラクターとして描かれる。

 最近、ソウル市江南区のカフェで会ったコ・ジュウォンは「『青い鳥はいる』のあらすじを読んですぐに出演を決めたくらい、物語にすっかりのめり込んだ」と語った。「今まで演じてきた人物の多くは、視聴者に大きな拒否反応を与えない、実直な性格だったではないか。そのおかげで、僕には『オムチナ(母親の友だちの息子という意味の韓国語を省略した言葉で、ルックスも成績も優れた完璧な人のこと)』のイメージも付いたし。でも、実際は全くそうではない(笑)。甘いどころか、一般的な男性に比べ無愛想。ドラマ『応答せよ1994』のスレギ(チョン・ウ)のようなタイプ。軍隊を除隊して年も取ったので、これからはイメージなどを考えることなく、気負わずやりたいと切に思っていたのだが、台本を読んでグッとひかれた」

 「社会問題にスポットを当て、希望のメッセージを届ける作品という点が意義深い」というコ・ジュウォン。「僕の学生時代にも校内暴力がなかったわけではないが、代替わりして被害者が加害者になるほど深刻ではなかった。自殺に関するシーンでは、実際に親戚にそういうケースがあったからか、より役に集中して演じた。このエピソードでは、ドクター・オが白衣を脱ぎ、警察と一緒に自殺サイトの捜査に飛び込む。涙を見せてはいけないのに耐え切れず、泣き出してしまい大変だった」

 同ドラマではコ・ジュウォンをはじめ、共演するBrown Eyed Girlsのナルシャ(非正規職の女性社員)やチェ・ジェウォン(暴力を振るう高校生の父親)など、全ての出演者が快く出演料の一部を寄付することにした。今後、同ドラマで生じる収益の一部も、共益的な事業に使われる予定だ。

 「学生時代、将来の希望として俳優になることを一度も考えたことがなかった」というコ・ジュウォンは、大学生のとき、偶然街でスカウトされたことをきっかけに芸能界入りし、俳優生活もすでに11年となった。「もともと夢はスーツ姿で書類かばんを手に、米国ニューヨークの金融街を渡り歩く人になることだった。でも、偶然スカウトされ、人生が大きく変わった。今の目標は、視聴者とこれからもずっと心が通じ合える俳優になること。眼差しだけでも、何を言いたいのか伝えることができる俳優になりたい」

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