▲世宗文化会館で会ったミュージカル『DECEMBER:終わらない歌』主演のジュンスは「セリフなしに、歌だけ歌わなければならないという考えが今回崩れた」と語った。/写真提供=C-JeSエンターテインメント

 先月から上演されている創作ミュージカル『DECEMBER:終わらない歌』は、公演界で2013年最高の話題作だった。キム・グァンソクの曲が散りばめられた「ジュークボックス・ミュージカル」の上、人気グループJYJのジュンスが主演を務めるからだ。初めは作品に対する評価がそれほどよくなく、「アイドルがキム・グァンソクの曲を歌う」という違和感から、ヒットは難しいとみられていた。しかし、ソウル公演(30回)は予約だけで座席の85%を占め、来月7日からは釜山公演が予定されている。まさにジュンスの「チケットパワー」と言えるだろう。1月24日、世宗文化会館の楽屋でジュンスに会った。

 「突然、おじさんたちの大きな笑い声が聞こえ、とても驚いた。僕の公演で初めて聞く声だったから」。50代以上の中年男性たちも大勢『DECEMBER:終わらない歌』を見たと言うと、ジュンスが笑いながら答えた。キム・グァンソクに対する思い出もあっただろうが、「ジュンスはへただ」といううわさでも立っていたら、最高14万ウォン(約1万3000円)もするチケットを誰が購入しただろうか。

-『ラ・マンチャの男』に出演中のチョ・スンウとともに、ミュージカル界でチケットパワーを持つ2大俳優と言える。有名な作品ではなく、創作ミュージカルへの出演を決めたのは、大きな冒険だったのではないか。

 「キム・グァンソク先輩の未発表曲『12月』を聞き、メロディーを感じ、ぜひ出演したいと思った。僕がうまく演じることが、僕に歌を歌う機会を与えてくれたミュージカル界への恩返しになるのではないか。参考映像はなく、動きや口調も僕が作っていかなければならない。最も難しかったのがセリフだった」

-2010年、『モーツァルト!』でミュージカル・デビューを果たした後、主に歌だけで構成されたミュージカルに出演してきたが、今回はセリフの量が多かった。イントネーションがとても独特で、真心が込められているという感じがした。

 「実は『できれば演技は後でやろう』と自分で限界を感じていたが、今回それが崩れた。勇気を出してやってみたら、自信が生まれた。ずば抜けていい声ではないが、これからありのままに見せていきたい」

-1990年代初めの情緒はなじみが薄かったのではないか。

 「一目ぼれしたり、下宿先の屋上をのぞくという設定が、最初は突拍子もないように感じられた。最近はカカオトーク(スマートフォン向け無料チャット・通話アプリ)ですぐに会ったり、別れたりしているではないか。それなのに、キム・グァンソク先輩の歌と共に、あの時代の情緒に浸っていたら、そういうことが本当に心からわき出る行動だということが分かった」

-第1幕の最後で「Too Painful Love Is Not Love」を歌ったとき、最も大きな拍手を浴びた。完全に感情移入していたように見えた。

 「感情を抑え、つくった感情を見せようかとも思ったが、いざ舞台で観客の前に立つと、それができない。すでに亡くなった人と対話する場面の後に登場する歌だ。百パーセント悲しみを込めて泣きながら歌った。そうしたら、精根尽き果てて立っているのもつらくなった」

-作品の半分は40代を演じなければならないということも、難しかったのではないか。

 「本当に容易ではない部分だったため、アイデアを出した。25歳として登場する第1幕を、まるで10代のように若々しく演じたら、第2幕では相対的に成熟して見えた。第2幕で酒に酔った場面を演じるのも、実際に酒を飲んだことがないので難しかった。結局、酒を飲む場面を減らした」

-東方神起として全盛期だったころと今ではどちらが幸せか。

 「今だ。以前は自分自身ではなく、東方神起として生きているような気がしていたが、今は舞台に立った僕を観客が応援してくれていることをはっきりと感じる。ミュージカルの魔力と中毒性はとてもすごい」

 ジュンスが所属するJYJは東方神起を脱退、前所属事務所ともめたことでテレビ番組に出演することができず、その影響は今も続いている。「それでも番組に出たいのではないか」と尋ねると、ジュンスは正直に答えた。「本当に出たい」

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