昨年、デビュー13年目にして無名俳優の哀愁を完全にぬぐい去り、「大器晩成」という四字熟語の意味を体現するかのように大ブレークしたのが俳優チョン・ウ(33)だ。

 最終回に平均視聴率11.9%、瞬間最高視聴率14.3%と、ケーブルテレビ・総合編成チャンネル史上最高の視聴率をマークして幕を閉じたドラマ『応答せよ1994』(tvN)でメーンキャストの「スレギ(ゴミ・くずの意)」ことキム・ジェジュン役を演じたチョン・ウは、ソン・ナジョン(コ・アラ)と最後までドキドキハラハラのラブストーリーを展開、人気に火が付いた。

 デビュー以来約12年間にわたり無名俳優として過ごしてきたチョン・ウにとって、『応答せよ1994』との出会いは俳優人生最高の幸運だっただろう。

 2014年、韓国一「ノリにノっている男」チョン・ウの歩みを見てみよう。

 チョン・ウのデビューは2001年、映画『7人の夜明け』の「子分7」という端役だった。その後『ライターをつけろ』(02年)、『品行ゼロ』(02年)、『同い年の家庭教師』(03年)、『浮気な家族』(03年)、『あいつはカッコよかった』(04年)、『死生決断』(06年)、『シンデレラマン』(09年)、『願い(Wish)』(09年)など、タイトルを挙げれば誰でも知っているヒット作や評判作22本に出演したが、チョン・ウの名前を知っている人はほとんどいなかった。

 特に09年の『願い』は自伝的な物語で原作を執筆した上に主演も務め、その熱演により第47回大鐘賞映画祭授賞式で新人男優賞を受賞した。当時、強力な受賞者候補だった『戦火の中へ』のT.O.P(BIGBANG)を抑えての受賞ということで話題になったが、それさえもしばらくたつと忘れられてしまうほどだった。

 13年のKBS週末ドラマ『最高だ、イ・スンシン』では主人公イ・スンシン(IU)の姉イ・ヘシン(ソン・テヨン)に片思いするパン屋ソ・ジンウクを演じた。一人の女性をひたすら思い続ける純粋な男というこの役で、徐々に顔が売れ始めた。

 そうしてこの演技に注目した『応答せよ1994』シン・ウォンホ演出のオファーで、男性メーンキャストのスレギ役にキャスティングされたというわけだ。

 シン・ウォンホ演出は「チョン・ウは普通の生活者を演じさせると強い。この役のキャラクターとチョン・ウはピッタリだと思う」と、絶大な信頼を寄せている。

 チョン・ウはこうした信頼に応え、慶尚道方言を完璧にこなしただけでなく、コミカルな演技もラブシーンも自然な演技で見せて評判を呼んだ。特に、ソン・ナジョン役のコ・アラと演じた甘いシーンは女性視聴者のハートをガッチリつかみ、「チョン・ウ病患者」が続出した。

 こうしたチョン・ウ人気はドラマ終了後も衰え知らずだ。

 「視聴率10%を突破したら『フリーハグ』をする」と公約したチョン・ウに一目会おうとファンが数千人も殺到、一帯の交通が一時的にマヒしたり、『応答せよ1994』のスタッフたちと一緒に海外バカンスに出発するチョン・ウを見送ろうと数百人が入国ゲートに集まり、空港業務に支障を来したりと、チョン・ウの人気は高止まりのままだ。

 さらに、CM出演オファーが殺到、約20本が契約済みだ。そうした多忙さの中で次々と新たな作品のシナリオが舞い込んでおり、次回作を検討しているという。

 12年間の無名生活を乗り越え、トップ俳優の仲間入りをしようとしているチョン・ウ。今後もその活躍から目が離せない。

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