韓国映画の1カ月の観客数が史上初めて2000万人を突破した。映画振興委員会・映画館入場券統合ネットワークが昨年8月28日に発表したところによると、同月1日から27日までに韓国映画を見た観客数は2092万8645人だったという。『7番房の贈り物』と『ベルリンファイル』がそろってヒットした昨年2月の1809万人、『10人の泥棒たち』がヒットした昨年8月の1701万人をはるかに上回る数字だ。

 韓国映画によるこの新記録は、7月31日に公開された『雪国列車』(日本公開タイトル『SNOWPIERCER〈スノーピアサー〉』)と『THE TERROR LIVE』、 8月14日に公開された『かくれんぼ』と『風邪』がいずれもヒットしたためだ。8月の全映画売上のうち、この4作品のシェアは78.2%で、映画館に入場した4人に3人以上がこれら4作品のどれかを見た計算になる。このうち、 8月の1カ月間でこの4作品すべてを見た観客は全体の約1%いた。映画チケットサイト「マックス・ムービー」の映画研究所が同サイトで予約した利用者を分析した結果によるものだ。朝鮮日報とマックス・ムービー映画研究所は27日と28日、この1%の利用者を対象に、映画の観賞傾向や4作品に対する評価についてアンケート調査を実施、計1017人がこれに答えた。

■映画のヒットをリードする「熱血観客」

 韓国映画の興行をリードする「熱血観客」1 %のうち、最も多くの割合(33%)を占めるのは30代男性だ。観客全体では30代女性客が30 %以上と最も高い割合を占めるが、熱血観客における30代女性客は30代男性客の半分(17%)に過ぎない。熱血観客全体を見ても、男性が女性の約1.5倍に達する。これら4作品はサスペンス・SF・パニック映画という男性好みのジャンルであることや、主人公が30-40代の男性であることが、30代男性客を映画館に向かわせたものと思われる。また、30代男性客は1カ月に4作品を見られるくらいの経済的・時間的余裕があり、サブカルチャーに大きな関心を持っている層だということを示す数値でもある。熱血観客の最大の特徴は、口コミやマーケティングに大きく影響されず、自分の好みがはっきりしていることも分かる。これら4作品を見る時に最も大きな影響を受けた要因は「特定の俳優や監督が好きだから」(44%)だった。「広告」は11%、「SNSや周囲の人々の薦め」は9%で、熱血観客の選択には大きな影響を与えていなかった。一方、5月に全観客を対象にしたアンケートでも同じ質問をしていたが、1位は「広告」(48%)、2位は「SNSや周囲の人々の薦め」(19%)だった。マックス・ムービー映画研究所のキム・ヒョンホ・チーム長は「1カ月に韓国映画4本をすべて見るほど関心が強い1%の観客は、数は少ないが興行をリードする人々。彼らは他人の評価に頼って映画を選ぶことはない。むしろSNSに映画評を積極的に掲載し、ほかの人々の観賞を誘導する『興行リーダー』だ」と話す。

 
■ヒット4作品すべて見た人々の選択は?

 韓国映画4作品に対する全体的な評価について「非常に満足」から「非常に不満」まで5段階に分けて質問し、100点満点に換算したところ、83.3点という結果になった。4作品のネットユーザー評点のほとんどが10点満点中7点台後半であることを考えると、4作品すべてを見た人の方が満足度が高いと分かる。

 4作品を選んだ際、「監督・俳優・ストーリー・ジャンルのどれを真っ先に考慮したか」という質問には、『雪国列車』は監督(ポン・ジュノ)、『THE TERROR LIVE』は俳優(ハ・ジョンウ)、『かくれんぼ』はストーリー、『風邪』はジャンルがそれぞれ1位だった。つまり、4作品を見た動機はすべて異なっていたということになる。韓国映画4作品が8月の1カ月間に2000万人突破という新記録の原動力になったのは、これら作品が観客を満足させ、各作品ではっきりとした差別化ができていたためだった。

 4作品に対する熱血観客たちの選好度と興行成績は違う。最も面白い映画には『THE TERROR LIVE』(44%)が選ばれ、続いて『かくれんぼ』(33%)、『雪国列車』(13%)、『風邪』(10%)の順だった。中・低予算で30代前半の新人監督の初作品が有名監督の大作を圧倒しているということだ。興行成績では8月28日現在で『雪国列車』(888万人)、『THE TERROR LIVE』(544万人)、『かくれんぼ』(432万人)、『風邪』(279万人)の順になっている。

 熱血観客は4作品に出演している最も印象的な俳優に1位ハ・ジョンウ(38%)、2位ムン・ジョンヒ(32%)、3位ソン・ヒョンジュ(11%)を挙げている。『THE TERROR LIVE』主演のハ・ジョンウは密閉された空間で一人でストーリーを引っ張り、『かくれんぼ』のムン・ジョンヒは一人の人物の中にあるさまざまな人格を見事に描写している。

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