「大人の女優になる心配より、いま目の前にある作品に集中したい」

 デビュー8年目、映画とドラマを合わせると、これまで全19作品に出演した。「どんどん出てくる後輩たちを見ると怖い」という言葉まで飛び出すなど、まるで中堅俳優のようだが、彼女はわずか14歳。今年1年、地上波3局を縦横無尽に駆け回り、「子役全盛時代」の幕を開けた少女がいる。「思いがけず、素晴らしい作品にたくさん出演することになり、感謝するばかりです」。女優キム・ソヒョンがはにかむように笑った。

 キム・ソヒョンは12月3日に終了したドラマ『怪しい家政婦』(SBS)をはじめ、『IRIS-アイリス-2』(KBS第2)、『出生の秘密』『君の声が聞こえる』(友にSBS)まで、今年だけで4作のドラマに出演。昨年4月からは、音楽番組『ショー!K-POPの中心』(MBC)の司会も務めている。

 演技を始めたきっかけは好奇心だった。「知り合いに女優志望のお姉さんがいたんですよ。その話を聞いたお母さんから『ピアノを習う? 演技を習う?』と聞かれました。それで、より面白そうだと思った演技を選んだんです」。塾の代わりに、オーディション現場に通った。わずか7歳にして、毎回第5次まで続くオーディションを100回以上も受け、演技力を身につけてきた。「KBSドラマシティ『10分間、あなたのささいな』(2006年)に主人公の子役として出演しました。おかっぱ頭で。10分も出たか分からないですね」

 監督が泣けと言えば泣き、笑えと言えば笑っていた素直な子は、映画『破壊された男』(2010年)から変わった。「拉致され、地下室に閉じ込められた女の子の役だったんですが、オーディションのとき、クマを作ろうと1週間ほど寝ませんでした。でも、それがつらくはなく、楽しかったんですよ。そのとき『自分には、演技することが合っているんだな』と思いました」

 ドラマ撮影中は、1、2時間の睡眠時間しかなく、友だちと遊ぶというのは論外。「睡眠が取れないと顔がむくみます。画面を見てやりきれないときも多いです」。撮影直前に渡される断片台本が横行するドラマの現場にも、初めは呆然としたという。「月曜日の放送なのに、土曜日に台本が来たりします。感情のつながりが切れたりもするし、もっとうまく演じたいのに、心残りでもありました」。それでも彼女は「撮影現場は学校」と目を輝かせた。

 大人の俳優たちのまなざしや表情が彼女を育てたという。「『君の声が聞こえる』で、殺人を目撃した証人として法廷に入るシーンがありましたが、そのような状況自体、生まれて初めてのことじゃないですか。でも、殺人者を演じたチョン・ウンイン先輩のまなざしを見た瞬間、全てが整理できました。本当に証人として立っているように、全身が震えました」

 子役のほとんどがそうであるように、キム・ソヒョンの最大の悩みも、大人の女優へと自然にシフトすること。「今までは、実年齢より上の役を演じてきたからか、わりと子役のイメージが薄いと思います。オーバーにイメージチェンジするよりは、一歩一歩進むことに集中しようと思います」。背が高くなるようにと、暇さえあれば縄跳びをして、来週には学校の期末試験も控えているという中2の少女。そんなキム・ソヒョンが思い出したように話した。「青少年ドラマを是非やってみたいです。一番私らしく演じられると思うんです」

ホーム TOP