【ソウル聯合ニュース】「シナリオがぼろぼろになるまで読みました。私の演技人生で初めてです。寝る時も台本を持っていました」

 パン・ウンジン監督がメガホンを取った映画「家に帰る道」(原題)で主人公ジョンヨンを演じる女優のチョン・ドヨンは9日、ソウル市内のカフェで行ったインタビューでこのように話した。チョン・ドヨンの映画復帰は「カウントダウン」以来2年ぶりとなる。 

 今月11日に公開される「家に帰る道」はフランスのオルリー空港で麻薬運搬犯として逮捕され、大西洋の孤島にある刑務所に収監されたある韓国人主婦の実話をもとにしたドラマだ。 

 「話がおもしろくて、興味深くて選択しました。読みながら腹が立ちました。どうしてこんなことが起きたのかと憤慨しました。シナリオを読んだ時はただの一つの事件と考えましたが、家族の話という考えが強くなりました。家に帰りたいというひとりの女の話です」
映画は自国民保護という大使館の重要任務を放棄したとの指摘を受けた在仏韓国大使館の恥部を赤裸々に見せている。映画を見ている間、事なかれ主義の高位公職者の保身にいきりたつことになる。チョン・ドヨンが出演を決心したのにはこのような理由が大きかった。 

 「映画『トガニ 幼き瞳の告発』を見て腹が立ったのは、映画を見ているこの瞬間にもこうしたことが起きているということのためでした。それがとても恐ろしかったです。この映画のシナリオを見た時も同じような怒りを感じました」

 撮影は容易ではなかった。ドミニカ、パリなど海外撮影が長くなった。1カ月に及ぶ強行軍だった。再撮影ができないことによるプレッシャーも大きかった。その上現場では英語やフランス語など5カ国語が使われた。言語の「トガニ(るつぼ)」の中でチョン・ドヨンは、気分が悪くなるくらいの混沌状態にあった。

 「フランス語、本当に、初めはこの中で生き残ることができるだろうかと考えました。幸い演技する時の言語的な部分は障害になりませんでした。ただ、ロケーションによる撮影時間が制限されているのに、撮る分量が多くて負担になりました。寝る時も台本を持っていました。こんなにぼろぼろになった台本は今までなかったです。とても緊張しました」

 ぼろぼろになるまで台本を読み込んだチョン・ドヨンは名演を見せる。特に法廷の場面は圧巻だ。2年間の収監生活をして初めて発言権を得た30代の主婦はおえつの代わりに沸き上がる感情を伝える。 

 「すべての場面が感情的に難しかったですが、最後の法廷場面が最も大変でした。2年という苦しい時間を経て成長した姿を見せたかったです。弱い女ではなく強くなった姿を見せたかったです。ですがとても緊張しました。緊張し過ぎて立っているのも大変だったんですよ。それに皆外国人じゃないですか。その視線がプレッシャーになりました」

 1997年に「接続 ザ・コンタクト」で映画デビューしたチョン・ドヨンは14編の映画に出演し、韓国の女優として初めてフランスのカンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞し、韓国最高の女優との賞賛も得た。しかし追従に近い称賛はある瞬間「毒」になった。

 「大きい賞をもらえばより良い作品で仕事をする機会が多くなると考えましたが、実状はそうではありませんでした。チョン・ドヨンがこんな仕事するか? そう考える人が多かったようです。心が痛みました。私は賞をもらったのは演技人生の一つの過程だと考えましたが、他の人たちは私の演技人生の絶頂だと考えたようです。そのような部分がつらかったです」
チョン・ドヨンはパク・フンシク監督がメガホンを取る「侠女」(原題)に出演する。高麗時代末の当代最高の女剣客ソルラン役を演じ、「我が心のオルガン」以来14年ぶりに俳優イ・ビョンホンと共演する。

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