東アジアを中心に発達した仏教文化。韓国には仏教文化の頂点といえる「八万大蔵経」がある。全523万3000字を木版に刻み、仏教経典を集大成したもので、現存する木版大蔵経の中では世界最古だ。1995年には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産にも登録され、その価値を認められた。
 八万大蔵経を所蔵している慶尚南道陜川郡では毎年秋に「大蔵経世界文化祝典」を開催している。今年は9月から11月10日まで行われる。会場では大蔵経の特徴をはじめ、東洋の仏教文化、生命の悟りなどについて学ぶことができる。

慶尚南道陜川郡では11月10日まで「2013大蔵経世界文化祝典」が開催されている。

 文化祝典を見るならまず「海印寺」を見学しよう。海抜1430メートルの山奥に位置する海印寺は、1251年に制作された八万大蔵経を今に至るまで所蔵している。大蔵経版のある建物の入り口に立つと、目隠しの幕の間から、800年以上も受け継がれてきた八万大蔵経が見える。
 とりわけ今年は、これまで非公開だった仏像が1200年ぶりに一般公開され、話題となった。仏像のある場所は、海印寺の僧侶たちが修行をするために訪れる厳粛な所で、仏像と向き合うその瞬間は、俗世間を離れて静寂な余裕を味わうことができる。

海印寺では、世界最古の八万大蔵経を実際に見ることができる。

 海印寺を一通り見終わったら、祝典会場に移動しよう。会場に向かう道の途中には、是非行ってみたい遊歩道「ソリキル(音の道)」がある。ソリキルでは、寺の敷地内で開催されている国際芸術祭の作品を鑑賞することもできる。アーティストたちが45日間の省察を経て、そのときに感じたことを作品にし、ソリキルの上に設置した。芸術作品を鑑賞しながら水の音や風の音に耳を澄ませると、心まできれいに洗われるようだ。

1200年ぶりに公開される仏像と、遊歩道「ソリキル」。

 最後に、祝典会場を見てみよう。会場には5次元(5D)立体映像を上映する展示館、大蔵経のさまざまなことが分かる歴史館など、八つの展示室がある。
 中でもメーン展示館の「大蔵経千年館」は、テーマ別に九つに分かれ、制作過程から保存方法に至るまで、八万大蔵経の全てが分かるようになっている。

大蔵経千年館に展示された作品「千年の合唱」。

 今回は特別に、木版の原板を見学する機会も設けた。期間中、会場の展示館には8点の原版が展示されている。16年かけて制作された大蔵経版は、職人の息遣いと仏教の精神が垣間見える「本物」であり「名作」でもある。
 会場では大蔵経を5Dで鑑賞できるほか、版画・人形作り、蔵経版殿の模型作りなどさまざまなコーナーが設けられている。

千年館の中には、大蔵経の制作過程を模型で説明するコーナーがある。

■大蔵経文化祝典について
-場所:慶尚南道陜川郡伽耶面のメーン会場と海印寺周辺
-ホームページ:www.tripitaka-festival.com

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