俳優キム・ナムギルが3年ぶりに帰ってきた。

 1981年3月13日生まれのキム・ナムギル(32)は22歳だった2003年、MBC公開採用タレント第31期生としてデビューした。

 その俳優人生は本名の「キム・ナムギル」ではなく「イ・ハン」という芸名でスタートした。

 これは、ベテラン俳優カン・ナムギルと名前が似ていたため、誤解を避けようと決めた名前だった。

 イ・ハン名義ではドラマ『ベスト劇場』(2004-05)、『頑張れ! クムスン』(05)、『第5共和国』(05)、『グッバイ・ソロ』(06) 『花咲く春には』(07)、『私たちを幸せにするいくつかの質問』(07)など数多くの作品に出演したが、あまり注目されなかった。

 だが、06年に挑んだキム・ナムギル初主演作『後悔なんてしない』で、当時としては異例の同性愛者という役を新進俳優ながら見事な演技でこなし、評論家たちの間で評判を呼んだ。しかし、それでもまだ一般の人気はまだまだだった。

 デビューから4年過ぎてもほとんど無名だったが、着実に努力を重ねた末にドラマ『恋人』(06)で主人公(イ・ソジン)の右腕テサン役に抜てき、セリフは少ないものの鋭く強い目でファンに強烈な印象を残した。

 そうして少しその名が知られるようになってきた08年に映画『カン・チョルジュン 公共の敵 1-1』に出演することになった。そのときカン・ウソク監督に「『イ・ハン』でなく『キム・ナムギル』の方が俳優らしい」と言われ、5年間かけてようやく知られるようになってきた芸名を捨て、本名を使うようになった。

 本人も08年のインタビューで「芸名で活動しているうちに、自分の本名でやりたいという欲が出てきた。本名で演技すれば自分自身に正直になれそうだという気がした」と語っている。

 こうした気持ちの変化を経て、メーンキャストに抜てきされた映画『美人図』が観客動員数300万人以上とヒット、「キム・ナムギル」という名が注目を浴びることになった。
 その後、ドラマ『善徳女王』(09)で自由奔放だが残虐な面も持った、カリスマ性のある登場人物ピダムを見事に演じ切り、視聴者をクギ付けにした。コ・ヒョンジョン、オム・テウン、イ・ヨウォン、ユ・スンホら演技派俳優たちが出演した全62話の同ドラマで第20話からの登場だったが、ストーリーが後半に進むにつれ視聴者たちはすっかり引き込まれ、最高視聴率43.6%という大ヒットに大きく貢献した。

 この作品ではMBC演技大賞の優秀賞とベストカップル賞、そして百想芸術大賞テレビ部門新人男優演技賞も受賞、09年はその俳優人生で最高の1年となった。

 翌10年に主人公を演じた『赤と黒』ではハン・ガインと共演、これも話題を呼んだ。

 ところが、『赤と黒』放映終了直後に急きょ入隊、10年7月15日から12年7月14日まで公益勤務要員として2年間にわたり兵役を務めた。

 除隊後は映画プロデューサーに挑戦、ドキュメンタリー・クラシック音楽映画『アンサンブル』の制作を手掛け、第8回提川国際音楽映画祭と第17回釜山国際映画祭に招待作され、俳優ではなくプロデューサーとしてファンの前に立った。

 さらに今年5月、サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーS4」をモチーフにした短編映画『ハローママ』では監督デビューも果たしている。

 そして現在、3年ぶりのドラマ出演作『サメ』では復讐(ふくしゅう)を遂げようとひたすら突き進む男ハン・イスを熱演している。

 常に新しい何かに挑戦している俳優キム・ナムギル。今後どんな作品が彼によって生み出されていくのか、目が離せない。

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