スターインタビュー
インタビュー:イ・ホンギ「正直だから損する。でもそれが僕」
人気バンドFTISLANDのメーンボーカル、イ・ホンギが映画『フェニックス~約束の歌~』(ナム・テクス監督)で初主演するという話を聞いたとき「また新しい『韓流』映画が作られるのか」と思った。日本で人気の韓流スターを前面に押し出し、日本から資金投資を受け、国内向けではなく日本向けに作られた映画だと思ったのだ。
試写会で見た印象は予想通りだったが、それでもイ・ホンギの俳優としての可能性が垣間見えたという点ではいい意味で予想を裏切られた。
それからというもの「俳優イ・ホンギ」が気になり始めた。熱狂的なファンを抱える一方で過激なアンチもいる男。彼は正直だった。インタビューからはイ・ホンギの純粋な「欲」が伝わってきた。
-典型的な「韓流企画映画」だと思った。韓流スターが出演し、日本から先行投資を受けているからだ。映画に出演したのは事務所の意向? それとも自分の意思?
「付加的なことはよく分かりません。投資などについても僕が気にするべき理由はないし。初めて台本を見た時はやらないと言いました。僕の同世代の人たちはほとんどホスピスについてよく知りません。僕自身、全然知らないことなので、どう演じたらいいのかも分からなかった。そしたら所属事務所からもう一度台本を読むように言われました。僕が俳優をしたいと思ったのは、他人の人生を生きてみたかったから。もう一度読んでみて、自分が知らなかった、そしてみんなも知らない他人の生き方があるなら、僕を通して知ってほしいと思いました」
-映画ではギター、ベース、ドラムまで演奏している。
「バンドを8年してきたので見て教わった部分がたくさんあります。日本でコンサートをするときに楽器を替えてみたり。ドラムの練習は普段からよくしています」
-子役の経験があるが、一時期演技から離れていた。その期間は俳優の仕事をしなかった? それともできなかった? なぜ今、再び俳優業を始めた?
「俳優業を一時期やめたのは思春期のころで遊びたいという気持ちがすごく強かったから。あまりにも自分の時間がなさすぎたんです。そのころの思い出はたくさんあるし、やらかしたこともたくさんあります。ちょうどそのころ、本当によくカラオケに行っていました。歌がうまいと言われたのもあるけど、歌が大好きだった。曲もたくさん聞きました。そうするうちにオーディションを受けることになってFTISLANDになった。オーディションを受けていたころから『僕に俳優もさせてくれるでしょ?』と言っていましたね」
-「アイドルバンド」と言われることについてどう思う?
「最初は嫌だった。アイドルって10代の(実力よりルックス重視の)『偶像』って意味でしょ。僕が望んでいるのはそういうことではないし、そんなことはできないと思っていました。最近はアイドルとかバンドから得られるものって何だろうと考えています。メンバーたちも『アイドルバンド』という路線を進みながらも、バンドの方向に進んでいっているという思いは同じです」
-世間ではバンドの基準を、自作曲を演奏するかどうかに置くことがある。
「曲を作ってみました。6月に韓国と日本でリリースされたアルバムにオリジナル曲が収録されています。日本では『フェニックス~約束の歌~』のエンディングに僕が作った曲「オレンジ色の空」が使われています。映画の撮影中に曲ができました。(共演の)シム・イヨン先輩にギターの演奏を聞かせるシーンがあって、練習していたらふと思い浮かんで。撮影が終わってから本格的に曲を書きました」
「最初は曲を作ってもらって僕たちのものとして歌いこなせば自分たちの曲になるのではと思っていました。ほかの多くのバンドもそうしているように。でも、時間がたつにつれて音楽に対する欲が膨らんできた。現実を直視するようにもなったし。自分が好きで、みんなも好きなものを共有するには、自分の曲で表現しなければって。初めて曲を書いた時のうれしさと言ったらもう…(笑)」
-アイドルからアーティストになるのは容易なことではない。中には俳優業に専念したり、タレント活動だけするケースも多い。今、俳優業をしているのはそうしたものの一環?
「うーん…。だから余計に音楽に欲が出ます。もしまた映画に出る機会があれば、その作品は本当に重要になると思う。アルバムも1stを出したら次の2ndが一番重要だっていうでしょ。以前は、僕がやりたいのは演技が70%、音楽が30%でした。でも、一時音楽が70%、演技が30%に変わった。最近は50%ずつでやっていきたいという欲が出てきました。そうできるように頑張ります」
-正直すぎて損をすると思ったことは?
「最近ちょっと思いますね。それでも、違うことを正しいとは言えないでしょう。違うことを違うと言わず、やりたかったことはこれじゃないと言えなければ、それは僕じゃない気がするから」
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