スターインタビュー
インタビュー:沢尻エリカ&蜷川実花監督に聞く
日本のドラマ『1リットルの涙』でヒロインを演じた沢尻エリカ(27)の清純な姿をイメージしている観客は、心の準備が必要だ。沢尻エリカが蜷川実花監督(40)とともに衝撃作『ヘルタースケルター』を引っさげ、韓国を訪れた。
美と人気への執着から整形手術を繰り返したあげく、破滅していくトップスター、りりこの物語を描いた『ヘルタースケルター』。本作で狂気的な姿はもちろん、女性との濃密なスキンシップまで披露し熱演した沢尻エリカ、そして独特な演出で映画を完成させた蜷川実花監督と、ソウル市江南区三成洞のホテルで会った。
「りりこは美しくあることが愛されるということだと思っている人です」
沢尻はりりこをこのように説明した。美への欲望が大きくなり、転落していくりりこに対し、沢尻が共感できたのはまさに「欲望」だったという。りりこが美に執着するにつれ、沢尻も演技への欲がどんどん大きくなっていった。
「りりこの欲望は、もっと美しくならなければいけないということですが、私自身は、もっと上手に演じなければという欲が生まれました。そういう面で、欲望心理を理解できたし、怖いなとも。私もりりこのように、自分のことがだんだん分からなくなり、自分が上手くできているのか、不安が生じました。監督がいくらほめてくれても、うそのように聞こえて。りりこの気持ちを体ですごく感じたし、一人で悩みを抱えていることに共感しました」(沢尻)
「エリカは現場で、みんなが上手いと言ってもほめ言葉を受け入れることができず、信じていませんでした。後に本人も演技に満足していましたが」(蜷川監督)
日本はもちろん、韓国でもバツグンのルックスでよく知られている沢尻エリカ。自分のルックスについて、どのように思っているのか聞くと、むしろ気を外見には使わないタイプだという答えが返ってきた。蜷川監督は「普段のエリカを見ると、まったく別人」と冗談を飛ばした。
「りりことは真逆で、美への執着がほとんどありません。女優なので必要なときはダイエットもしますが、プライベートではスタイルに気を使いません。オンとオフがはっきりしているタイプです。仕事でオンのスイッチが入ると、それに合わせて体を作り、オフのときは完全に気が緩んでしまいます」(沢尻)
「りりこはファッションモデルという設定なので、エリカはクランクインまでに体を絞ってきました。撮影を重ねるにつれ、どんどん痩せていく姿を見ながら、本当にかわいそうなほどでした。そういう面で、プロとしての自己管理が上手だと思います」(蜷川監督)
今や文化的交流が盛んな韓国と日本。韓国の監督や俳優と仕事をする計画があるのか尋ねると、蜷川監督はアジアを股にかけた作品を作りたいと語った。
「基本的に合作を手掛けてみたいなと。最近、中国で仕事をしたのですが、中国の俳優も韓国の俳優も登場する、アジアをベースにした作品をやりたいと思っています。かなり高いハードルがあるでしょうが、近いうちに実現させたいです」(蜷川監督)
「チャンスがあれば、韓国映画や外国映画に挑戦したいと思っています。違う雰囲気の中で、多くのアジアの人たちと一体感を感じながら、仕事をしたいです」(沢尻)
インタビュー前日に入国したという二人に、韓国の印象を聞いてみた。韓国料理が好きだという二人は、カルビや参鶏湯(サムゲタン=鶏のスープ料理)を食べたり、ショッピングをしたりして楽しんだという。今回、韓国の魅力をたくさん感じたという沢尻エリカに、共演したい俳優について聞くと「すてきなイケメンがいい」と言ってにっこり笑った。
「韓国の男性は女性的というわけではありませんが、格好よくて、ハマってしまいますね。目の保養のためにも、一緒に仕事をしたいです(笑)。最近、日本アカデミー賞の授賞式で東方神起のチャンミンさんと会いました。本当にキュートで、ミニチュアにしたいと思ったほど。『江南スタイル』のPSYさんにもぜひ会ってみたいです。本当に面白かったです」(沢尻)
すでに日本で満足のいく成果を挙げた『ヘルタースケルター』。映画を演出した蜷川監督と主人公を演じた沢尻エリカは、韓国の観客にどのように見てほしいと思っているのだろうか。
「観客に映画をどう見てほしいかを言うのは、少し違うような気がします。この作品は悲劇的な物語ではありますが、主人公が最後には自分の選択した道を歩んでいくので、日本では勇気をもらったという方が多かったです。韓国の観客にもどんな形であれ、プラスのエネルギーを持ち帰ってほしいです」(蜷川監督)
「この作品は女性目線で見ると、共感できる部分が多いです。主人公の心情もそうだし、ファッションも見どころだと思います。韓国は美への意識が高い国だと思うので、個人的に自信を持って、この映画をおすすめしたいです」(沢尻)
最後に、再び飛躍を目指す沢尻エリカと写真家、映画監督として活躍している蜷川実花監督に今年の計画を聞いた。
「仕事では映画を中心に考えているため、映画についてすごく悩んでいます。作品をゆっくり検討し、関係者と話し合っています。映画で歌を歌ったりダンスを踊ったりする役もいいし、アクションやコメディーもやってみたいです」(沢尻)
「基本的に写真を撮る仕事をしていて、ミュージックビデオもたくさん撮っています。もちろん、映画も撮りたいし。まだお話できませんが、いくつか企画しているものがあります」(蜷川監督)