今月3日にドラマ『その冬、風が吹く』(SBS)最終回の第16話が放送された後、主演のチョ・インソンは「(打ち上げで)たくさんお酒を飲みました」と話した。これまでの疲れで久しぶりにゆっくり寝られたのでは…という想像とは違い、チョ・インソンは朝早く起きて脚本家のノ・ヒギョン氏に電話をかけたという。「込み上げてきた思いを抑えきれず、泣いてしまった」と話すチョ・インソン。ノ・ヒギョン氏の声を聞いて「またその声が恋しくなった」という。

 5日午後、ソウル・南山のホテル「グランド・ハイアット・ソウル」で行われたインタビューでのチョ・インソンは、主人公オ・スそのものだった。ソン・ヘギョとの共演については「最高でした。僕がすべきこととへギョがすべきことはハッキリしています。相手が気付いていない時は補おうという気持ちが働く。でもときどき嫌な時もあるし、残念な時もあるし…ヘギョとはそれがうまく合っていたのか、とても気持ちよくできました」

 チョ・インソンの演技に対する渇望は誰よりも強かった。『バリでの出来事』『卑劣な街』などドラマや映画で活躍した2000年代半ばのトップスターが入隊。除隊後も1年半以上「忍の一字」で耐えなければならなかったからだ。「本当につらかった。それにこの作品では僕の感情のラインを極端に低くする必要があったので簡単ではありませんでした」

 『その冬、風が吹く』のオ・スという役は泣くシーンが多かったため、「チョ・インソンはどうしてあんなに涙の演技が上手なの? チョン・ジェミン(『バリでの出来事』でチョ・インソンが演じた役)を見ているよう」という声も上がった。これについてチョ・インソン本人は「僕があまりにもオ・スによく似ているからでしょう(笑)。その一方で怖いと思うこともあります。泣けば表情も崩れるし、その泣いている姿が僕自身のキャラクターとして印象に残ってしまうのではと考えると重荷にもなりました。年も取ったのでだんだん泣くのが大変になってきて。今回の撮影でも涙の演技に集中する時は小さかったころのことを思い出しながら演じました」と語った。

 脚本家のノ・ヒギョン氏はそんなチョ・インソンに「あなたの泣く姿は以前とかなり違うから心配しないで」とささやいた。チョ・インソンは「ありのままに演じたので、そうおっしゃったのでしょう」と満足そうだった。

 チョ・インソンは12年前にドラマ『学校3』でデビュー。そして『バリでの出来事』で、世界で一番演技が下手な最悪の俳優でなく、「俳優チョ・インソン」と呼ばれても自分自身に恥じることのない俳優になった。そして除隊後、長い間待った末に出演を決心した『その冬、風が吹く』でその全エネルギーを余すところなく発揮した。「自分の演技スタイルには今後もこだわっていくでしょう。それを捨ててしまったら自分ではないような気がして。もちろん、それがいい結果を生むこともあればそうでない場合もあるでしょうが…ノ・ヒギョン先生は『あなたはピチピチはねる活きがいい魚みたい』って」

 ノ・ヒギョン氏はチョ・インソンに対し、撮影時に何も注文を付けなかったという。ストーリーの流れ・解釈が違う時でも「思い通りにやって」と任せたというのだ。果たしてそんなことを、演技のできない俳優に何のためらいもなく言えるだろうか。

 結局、脚本家・演出家・出演者・スタッフたちがお互い信頼し合い、一緒にやってきた結果、『その冬、風が吹く』は水木ドラマ視聴率1位をマークし、「オ・ス・ブーム」が巻き起こり、女性視聴者からこよなく愛される作品となった。

 「僕のことがかわいそうに見えたようですね。(キム・テウ演じる)ムチョルの『愛があるね』というセリフ通り、愛の前では人も何も通じないんですよ。兄だというのがうそだと分かり、オ・ヨンにどんなにひどく責められても黙って我慢して…。彼女を助ける代わりに借金のせいで100日しか生きられない最悪の状況になっても、簡単に5日もあげてしまったり…皆さんそういうオ・スの人柄のとりこになったのではないでしょうか?」

 最後にチョ・インソンは「『ヒーリングキャンプ~楽しいじゃないか~』(SBSのトークバラエティー番組)に出なくてもいいでしょう?」と冗談を言った。その理由は『その冬、風が吹く』ですごく癒やされたから。「望みがあるとすれば、それは『チョ・インソンはいい俳優だね』と皆さんに認めていただくことだけです」と笑った。

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