K-POP
PSY 新曲MV、一日で2255万回再生
「江南スタイル」ブームの再来を狙う歌手PSY(サイ)は出足好調だ。13日夜、ソウル・ワールドカップ・スタジアム。世界で初めてステージで披露され、その直後に動画共有サイト「ユーチューブ」にアップロードされた新曲「GENTLEMAN」のミュージックビデオ(MV)再生回数は、16時間後の14日午後1時に1000万回を突破した。「江南スタイル」MVが公開19日目で1000万回に達したのに比べると驚異的なスピードだ。「GENTLEMAN」MVは14日夜11時現在、再生回数約2255万8600回を記録している。
■16時間で再生回数1000万回突破
曲自体については「『江南スタイル』と同じくらい斬新」「単純で陳腐なクラブ・ダンス・ミュージック」など評価が分かれている。しかし、PSYは一気に世界のポピュラーミュージック界で注目を集め、「ニュース・メーカー」になった。
新曲発表を兼ねた13日の公演には観客4万人が集まり、国内外の15万人が動画共有サイト「ユーチューブ」の生中継を見守った。APやロイターなど海外の有力メディアも取材に訪れ、米ビルボード誌(電子版)はPSYの新曲発表をトップ記事として掲載した。
音楽配信サイトiTunes Storeのダウンロード・ランキングでも「GENTLEMAN」は好調だ。米国では14日夜11時現在、「江南スタイル」の64位を大幅に上回る30位にランクインしている。また、シンガポール・マレーシア・香港・アルゼンチン・スイス・スウェーデン・タイなど20カ国・地域以上では1位、あるいは上位にランクインしている。
■特化した「PSYスタイル」
PSYは「GENTLEMAN」で新たな挑戦するのではなく、前作のヒットの公式をそのままたどる安定戦略を選んだ。新曲のMVは「江南スタイル」と似ているものの、少し変化を加えている。前作ではどのシーンでもコミカルな演出で笑わせたが、新曲MVではシチュエーション・コメディーのように短いストーリーを連続的に差し込んでいる。「江南スタイル」よりも笑いに力を入れているようだ。ソウルで一番イケている街「江南」のスタイルとはかけ離れているのに「オッパ(お兄ちゃん=PSY自身)は江南スタイル」と歌った前作のように、新曲も「ジェントルマン(紳士)」とは全く違う、他人をひどい目に遭わせる様子をMVで見せながら「GENTLEMAN」と歌っている。
曲を聴くと「サビ」と言われるメーンのメロディーはなくなった。「江南スタイル」の「Hey, sexy lady」に当たる部分がないのだ。サウンドはより強く、リズムはよりシンプルになり、最近のクラブでよく耳にするエレクトロニック・ダンスの作りを受け継いでいる。過去のリリース曲のダンスを「再利用」したPSYは、今回「小生意気ダンス」を振り付けた振付師に著作権料名目で所定の金額を支払ったとのことだ。
■「江南スタイル」を越えられるかは未知数
ポピュラーミュージック界では「GENTLEMAN」について、ほとんどが「『江南スタイル』とあまり違わないが、少なくとも失敗はしないだろう」と見ている。ただし「江南スタイル」の爆発的なヒットを上回るとの予測はほとんどなかった。
ポピュラーミュージック評論家のパク・ウンソク氏は「『江南スタイル』が非常に人気があったため、期待したいという心理が働いてそれなりの成果を挙げるだろう。発売初週でどれだけ話題になるかが鍵だが、現時点ではビルボード誌のシングルチャート40位以内に難なくランクインするものと思われる」と語った。SBSラジオのキム・テソン・チーフプロデューサーは「本当に『PSYらしい音楽』のスタイルを固めようとしているようだ。グローバル戦略をよく練っているのだと思う。大きな市場では特化したコンテンツを最大限に生かすやり方が有利なため、『江南スタイル』に匹敵する成果を挙げるだろ」と見通した。
その一方で「この新曲は『江南スタイル』のハロー効果(後光効果)を越えられずに終わるだろう」という声もある。KBSの中堅プロデューサーは「『江南スタイル』の作りをほぼそのまま踏襲し、MVに(人気タレントの)ノ・ホンチョルとユ・ジェソクを再び登場させたのは、前作のプレッシャーがあるからだと思う。好成績を期待するのは難しいだろう」と評した。ポピュラーミュージック評論家のチェ・ジホ氏は「『江南スタイル』のヒットはあまりにも異例なことなので、今回も同じ結果を期待するのは欲張り過ぎ。ほぼ同じ物をもう一度出した印象なので、前作ほどの波及力はないだろう」と語った。
PSYは公演前の記者会見で「国民的な関心が高ければ高いほど、自分らしいものを見つけようという気持ちがわいて『安っぽい』感じの曲にした。ネットで『ただのクラブ・ミュージック』という書き込みを見たが、その通り。クラブ・ミュージックだ。一般大衆が望む歌こそ僕が歌いたい歌」と語った。