野崎友子通信員
インタビュー:パク・コンテ「演技は、その状況に身を置いて初めてできるもの」
これまで、数多くの作品に出演し、『ごめん、愛してる』のガルチ役で「名子役」として注目を集め、KBS演技大賞青少年演技賞を受賞。以降、子役トップスターとして活躍を続け、昨年は『メイクイーン/MAY QUEEN』で素晴らしい演技を見せ、高視聴率に貢献したパク・コンテにインタビューした。
―最新出演作は『アイリス2』でしたが、エピソードはありますか。
「アクションでけがをしちゃいました。相手がスタントマンでない普通の若い俳優さんだったので、アクションに慣れていなくて…でも、迫力あり映像が撮れたのでよかったと思います」
―チャン・ヒョクさんの子役を務めたのはデビュー作の『火山高』以来2度目ですね。ウナギの水槽に落ちた、当時のことは覚えていますか。
「何しろ子どものころなので…水槽に落ちるのは怖かったですけど、安全だと言われて、スタッフが押してくれてなんとかやった記憶があります(笑)」
―昨年は『メイクイーン/MAY QUEEN』で大きな話題を呼びました。チャンヒ役をどう思い、引き受けましたか。
「台本をもらった時、チャンヒの冷たいキャラに惹かれました。自分の(本来の)キャラではないと思いましたが、この役をやることで演技的に成長できると思いやることにしました」
―役作り、練習はどのようにしましたか。
「練習、というより、僕は役作りをするということは役になりきることだと思っています。なので、チャンヒという人物を理解してなりきることだけを考え、準備しました」
―最近は、ラブラインも少しありますが、そういう演技は難しいですか。どういう気持ちで演じますか。
「(実際の)経験があまりないので…でも、状況に合った演技をしていると、自然にそんな感情が出てきて何とかなるようです(笑)」
―好きなシーン、苦労したシーンを教えてください。
「チャンヒが高台から造船所を見下ろしながら『いつかこの造船所を手に入れる』と将来の夢を語るシーンが好きです。チャンヒのつらい思いと、大人になって変わっていく理由を示唆しているシーンでもあると思うので。苦労したシーンは、海で遭難するシーンですね」
―このドラマではパク・コンテくんのほか、パク・チビン、キム・ユジョンと子役トップスター共演で話題になりましたが、プレッシャーはありませんでしたか。
「どの作品でもですが、競争心とかプレッシャーとかはありません。助け合いながらいい仕事をしようという気持ちだけです」
―キム・ユジョンちゃんとの相性はどうでしたか? キム・ユジョンちゃんは、数多くの共演者の中でもパク・コンテくんがいいとコメントしていましたが。
「役の上では、女の子に好かれるのはうれしいですけど…ユジョンちゃんは仲のいい妹です(笑)」
―ドラマではすごくいやな子でいじめられたソ・ヨンジュくんの印象は。ヨンジュくんは、まだ新人で年下だしかなりプレッシャーだったと言ってましたが。
「落ち着いた雰囲気なので、最初に合ったときは、年上だと思っていたら実は弟でした(笑)。年下なのにえらそうにしていじめる役は大変だったと思いますが、個人的にはいい弟です」
―『ペク・ドンス』で「大人っぽくなって、すごくかっこよくなった」と思い、子役でなく俳優になったなと感じたのですが、ご自身ではどう思っていますか。
「その通りだと思います。その2作品の間が、外見でも、演技的にも過渡期だったと思います」
―『ペク・ドンス』はヨ・ジングくんとの共演でした。やはり人気と実力のある子役ということで、ドラマ同様、ライバル意識をもって演じたのではないですか。
「共演して、競争心が生まれたのは確かです。でも、それはあくまで演技に対する競争心。ドンスとヨ・ウンのように、いいバトルがお見せできたのではと思っています。演技を離れたときはかわいい弟です」
―『ペク・ドンス』では、アクション演技も非常にかっこよかったのですが、どのくらい、どうやって練習しましたか。
「アクションドラマなので、アクションが重要な要素でした。なので、撮影前3カ月ぐらい、子役みんなでアクションスクールで練習しました。そのチームが今『アイリス2』をやっているんです」
―さらにさかのぼって、『鉄の王キム・スロ』も大変そうでしたね。乗馬シーンでは、あの年で本当に乗ってるのでびっくりしましたが、すごくかっこよかったですね。
「乗馬シーンはすごく頑張ったので、そこを見ていただいていてうれしいです(笑)。危険なので、普通はスタントを使って、後ろから撮ることが多いのですが…なので、カメラ監督さんも顔が見えるように引き、寄りできれいに撮ってくださったようです」
―『鉄の王キム・スロ』では父親が殺されて、出自を知って衝撃を受けた後の演技が圧巻でしたが、あのような感情演技はどのようにして生み出すのですか。
「自分の考えなんですが、演技は、練習して作るものでなく、その人になりきって初めてできるものだと思うんです。なりきって、その状況に身を置いて、『親が死んだ』『本当の子どもじゃなかった』と思うと、自然にできるんです」
―パク・コンテといえば『ごめん、愛してる』は外せない作品なのですが、あのころは、演技というものをどのように考えていましたか。
「6歳のときでした。正直、あのころは、楽しくやっていましたが、撮影現場には遊びに行く、という感覚でした。今は、演技を真面目に仕事として考えるようになりました」
―今までやった役で一番気に入っている役は。また、自身と似ているキャラは。
「『メイクイーン/MAY QUEEN』のチャンヒです。この難しい役柄を演じることで、演技の幅が広がり、今後の演技活動に役立つと思いました。似ているキャラは…ないです(笑)」
―もうすぐ高3になりますが、進路はもう決めましたか。
「大学の演劇映画学科に進みたいと思っています。ずっと演技をやってきましたが、中学・高校は普通校なので、ちゃんと学んでみたいんです」
―学校の友達と遊んだりする時間はありますか。何をするのが好きですか。
「撮影がないときは、普通に友達と遊んだり勉強したりします。サッカーやバスケも好きです」
―ご家族は、演技の仕事をすることをどのように思っていますか。サポートしてくれますか。
「両親はアドバイスもくれるし、一生懸命サポートしてくれます。姉がいるんですが、両親が僕のことにいろいろ大変なので、姉には少し申し訳ない気がしています。だからできるだけ姉の言うことはよく聞いて、よくしてあげようと思っています」
―自分の自慢できること、自身のある部分は。
「え~…特には…活発、ポジディブな性格? リーダーシップ? クラスで委員をやったりして人気もあります(笑)。人に優しいところとか?」
―逆に、ここはちょっと弱点、克服したい、というようなことがありますか?
「何かをしようとするとき考えすぎる傾向があって、これは長所でもあり短所でもあるかなと思います」
2008年の『エデンの東』のころまでは、上手だが、あどけない普通のかわいい子という印象でしかなかったが、2011年の『ペク・ドンス』あたりからその顔つきとともに「俳優だ」と感じさせられるようになったパク・コンテ。2012年の『メイクイーン/MAY QUEEN』でもその演技力を再認識させられたのはもちろん、陰りのある役を演じさせたら特にぬきんでた魅力を発揮する。17歳とは思えないほどしっかりした演技への考え方も持っているが、かといって大人びているわけでもない。勢いよくまっすぐ伸びている最中の若芽のような彼の成長を、これからも楽しみたい。
協力:Pas de deux