映画
韓国映画界の勢力図変える? ヒット連発する3人の俳優とは
韓国映画の看板俳優が交代し始めているということだろうか。チェ・ミンシク(50)、ソン・ガンホ(46)、ソル・ギョング(44)という2000年代の「俳優トロイカ」(韓国映画の興行をけん引する3人の俳優)に最近、変化の兆しが見えてきた。ここ2-3年でキム・ユンソク(45)、リュ・スンリョン(42)、ハ・ジョンウ(34)が相次いでヒットを飛ばし、新「俳優トロイカ」として台頭しているというのだ。優れた演技力と男らしさを兼ね備えたこの3人に対し、「ダーティー・セクシー3人衆」(ルックスには恵まれていないが、男らしくて魅力的な3人)という言葉まで生まれた。
「新俳優トロイカ」の軸になっているのはキム・ユンソクだ。2006年のドラマ『妻の復讐~騙されて棄てられて~』、映画『タチャ イカサマ師』で一躍その名を知られるようになり、映画『チェイサー』(08年)、『チョン・ウチ 時空道士』(09年)、『ワンドゥギ』(11年)などで安定した興行成績を挙げた。そして昨年は韓国映画の歴代興行1位になった『泥棒たち』で最高の1年を過ごした。
『NANTA』などのノンバーバル(セリフのない)パフォーマンスや舞台で活躍していたリュ・スンリョンはこのところ「4連続ホームラン」を記録中だ。映画『神弓 -KAMIYUMI-』(11年)、『私の妻のすべて』(12年)、『王になった男』(12年)に出演、現在公開されている『7番房の贈り物』も今年の韓国映画で興行1位をひた走っている。
「ハ大勢」(大勢=世の中の大きな流れ)と呼ばれているハ・ジョンウは30代の俳優の中でも最も独歩的な地位を築いている。07年のドラマ『H.I.T』で注目され、『チェイサー』(08年)、『国家代表!?』(09年)、『犯罪との戦争:悪い奴らの全盛時代』(12年)、『ベルリン』(13年)など、商業性と作品性を兼ね備えた映画で自身のフィルモグラフィー(監督・俳優などが携わった映画作品のリスト)を飾っている。
彼らの共通点はしっかりした演技力と男らしさ。キム・ユンソクは大鐘賞や青龍映画賞など主な映画賞を総なめにしている演技派だ。リュ・スンリョンは清国の大将、女たらしの男、朝鮮王朝時代の承政院長、愚かな父親など、作品に出るたびに全く違う役柄をこなし、観客を驚かせている。ハ・ジョンウも「あらゆる作品で独自のカラーを出している」と高く評価されている。映画評論家のカン・ユジョン氏は「韓国でヒットする主なジャンルはアクションやサスペンス。強い男らしさをイメージさせるこの3人の活躍は顕著だ。前作で男らしさで評判を呼び、次の作品ではコメディーやロマンチックコメディー系で新鮮さを見せるのも彼らの特徴」と話す。事実、キム・ユンソクはアクション物の『泥棒たち』出演後の次回作にコメディー物の『サウスバウンド』が決定、リュ・スンリョンは時代劇『王になった男』の後にコメディー物『7番房の贈り物』に出演した。ハ・ジョンウも昨年『ラブフィクション』でロマンチックコメディーに挑戦している。
3人は特定の監督と厚い信頼を築いていることでも共通している。キム・ユンソクは『ビッグスウィンドル』で脇役を演じた後、『タチャ イカサマ師』『チョン・ウチ 時空道士』『泥棒たち』とチェ・ドンフン監督の主な作品に出演してきた。ハ・ジョンウは中央大学演劇映画科の同期生ユン・ジョンビン監督とともに『許されざるもの』(05年)、『ビースティ・ボーイズ』(08年)、『犯罪との戦争:悪い奴らの全盛時代』に出演、ユン監督の次回作『群盗』にも出る。しかも、二人は『チェイサー』『哀しき獣』を手掛けたナ・ホンジン監督を通じてもつながっている。リュ・スンリョンはソウル芸術大学の1年先輩であるチャン・ジン監督の『小さな恋のステップ』(04年)で映画界に入った。
出演さえすればヒットが確実なだけに、彼らの出演料は韓国でもトップレベルに跳ね上がっている。キム・ユンソクは『泥棒たち』のギャラが6億ウォン(約5200万円)、ハ・ジョンウは『ベルリン』のギャラが5億ウォン(約4300万円)といわれている。リュ・スンリョンは『7番房の贈り物』で2億5000万ウォン(約2200万円)前後を受け取ったとのことだが、今後はその額も大幅アップすること間違いなしだ。興行成績に応じさらに出演料を受け取る「ランニングギャランティー」まで考えれば、3人の実際の収入はさらに高額になる。