韓国のトップミュージカル俳優を配した本格的な韓国ミュージカル『ウェルテルの恋』が11日、東京・赤坂ACTシアターで初日を迎えた。

 『ウェルテルの恋』は、ゲーテの小説「若きウェルテルの悩み」を原作とした韓国のオリジナルミュージカルだ。2000年に韓国で初演して以降、何度も再演され昨年もソウル公演を行った。今回は、その際のキャストを中心に招聘公演が行われている。

 主演のウェルテル役は、韓国ミュージカル界のエースと言われるキム・ダヒョンと若手のチョン・ドンソクのWキャスト。2人とも売れっ子の本格的なミュージカル俳優で、ルックス、歌唱力、演技力がそろっており、昨今、欧米をもしのぐレベルの高さともいわれる韓国ミュージカルの真髄を見せる。

 初日公演前に、キム・ダヒョン、チョン・ドンソク、そしてウェルテルが恋する女性ロッテ役のキム・ジウが囲み取材に応じた。

 キム・ダヒョンは「字幕を通じてせりふが紹介されることに不安があるが、ポイントが伝えられるようにしっかり演技する。第1回なので、内容がわかるようなら、字幕を見ないで演技を集中してみてほしい」と語り、緊張感をのぞかせながらも自信を感じさせた。

 キム・ジウは「日本の観客がどう受け入れるか心配だが、韓日の情緒は似ていると思うので、心が伝わると信じて演技する。韓国と(観客の反応が)どう違うのか楽しみ」と期待感を示した。

 19日からの出演となるチョン・ドンソクは、「劇場の施設が素晴らしいし、ゲーテの原作はご存じと思うので、ちゃんと伝えられると思う。この作品は恋を題材にしており、難しくないので気楽に見てほしい」と語った。

 この演目を演じ、楽しいこと、大変なことは、との質問には、チョン・ドンソクは「楽しいのは、感情の幅が広いので、多様な表現ができること。つらいのは、昔の経験を思い出して…(笑)」と言い、キム・ジウは「ロッテはみんなに愛される、明るく純粋でお姫様のような役で、演じるのが幸せ。幸せな時もあれば絶望も、というメリハリが大変」と明かした。キム・ダヒョンは、「愛に苦しむということは、幸せもあり、切ないところもあり、そんな両面が楽しめるのが魅力。演じていて、ここにはウェルテルじゃなくてダヒョンがいるという気がする、それが楽しい」と役と同体化するほど魅了されていることを語った。

 またキム・ジウは、「キム・ダヒョンさんのウェルテルは、優しくて、その中に強さを蓄えている。感情を抑制しているが男らしく、繊細。守ってあげたいという気になる。ドンソクさんは、突っ走るような、新鮮なウェルテル。相手役として緊張感を感じていた。若いけれど、ウェルテルになぐさめられているような気がした」と「2人のウェルテル」の違いを語った。そして「まったく違うウェルテルなので、ぜひどちらも見てほしい」とPRも忘れなかった。

 ミュージカル『ウェルテルの恋』は赤坂ACTシアターで26日まで全20公演を行う。この公演は、韓流ファンだけでなく、幅広いミュージカルファンに足を運んでもらいたいと、招聘ミュージカルとしては異例の9800円という抑えた料金設定がされているのも魅力のひとつだ。K-POPアイドルの名前に頼らない作品のクオリティーで勝負するミュージカルの成功を期待したい。

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