いつからだろうか。大衆に愛されるスターたちには「国民」という称号が付くようになった。「国民」司会者ユ・ジェソク、「国民」俳優アン・ソンギ、「国民」歌手チョー・ヨンピルなど、名実共にその分野で偉業を成し遂げた人々に「国民」という称号が付いた。

 純粋そのもののルックスや愛らしさで兄のような年齢の男性ファン、さらにもう一回り上の中年男性ファンまでとりこにしてしまう少女たちを、韓国では「国民の妹」と呼んでいる。「国民の妹」第1世代の女優ムン・グニョンから、今年CMでブレークした新体操選手の孫延在(ソン・ヨンジェ)まで、「国民の妹」の系譜をまとめてみた。

■元祖「国民の妹」ムン・グニョン

 女優イム・イェジンをはじめ、チェ・シラ、ハ・ヒラ、イ・サンア、チェ・ジンシルなど明るく元気なイメージで年上男性ファンを心ときめかせたスターたちは多いが、「国民の妹」と言われ始めたのはムン・グニョンだろう。ルックスはもちろん演技力もあり、全国民に愛されたムン・グニョンは、まさに「国民」という称号にふさわしかった。

 2000年のドラマ『秋の童話 Autumn in My Heart』でヒロイン(ソン・ヘギョ)の少女時代を演じたムン・グニョンは、想像通りの少女そのものだった。そのつぶらな瞳から涙がポロポロこぼれると、全国の男性ファンも胸の奥で一緒に泣いた。

 今ではすっかり「妹」から「大人の女性」になったムン・グニョン。現在は「国民の妹」から「国民的女優」に近付いている。

■今までにない純粋さが魅力のパク・ボヨン

 目鼻立ちがはっきりした女優たちが人気だった06年、一重まぶたのパク・ボヨンが彗星(すいせい)のごとく現れ、大きな反響を呼んだ。07年のドラマ『王と私』でク・ヘソン演じるユン・ソファの少女時代を演じて注目を浴び、08年には映画『過速スキャンダル』で一気に「国民の妹」の称号を得た。

 元祖「国民の妹」ムン・グニョンの武器が涙だとすれば、パク・ボヨンの武器は口元が三日月のような曲線を描く笑顔だ。所属事務所の問題でしばらく芸能活動に支障が出たが、それでもパク・ボヨンに対する男性ファンたちの気持ちは冷めなかった。歌手IU(アイユー)やmiss Aスジなど「新・国民の妹」たちが続々登場した今年、パク・ボヨンは映画『オオカミ少年』で再び「国民の妹」の称号奪還を狙っている。

■「フィギュアの妖精」から「フィギュアの女王」になったキム・ヨナ

 銀盤を優雅に舞うように滑る「フィギュアの女王」キム・ヨナ。現在では「クイーン・ヨナ」と呼ばれているキム・ヨナにも「国民の妹」時代があった。「ロクサーヌのタンゴ」「こうもり」「死の舞踏」などの曲に乗って氷上でオーラを放つキム・ヨナが、CMやバラエティー番組で見せるあどけない少女のような一面は、多くの「ヤマイヌ」(キム・ヨナのファンたちは自分たちのことをこう呼ぶ)を誕生させた。

 フィギュアで偉業を成し遂げたからだろうか。バンクーバー冬季五輪で世界新記録を作り金メダルを手にしてから、キム・ヨナは「国民の妹」と呼ばれなくなった。近付き難いオーラを放つキム・ヨナは今や、名実共に「女王」になったのだ。

■IUはこのまま消えてしまうのか

 IUが08年に「迷子」でデビューしたとき、「国民の妹」になるとは誰も予想しなかった。ただ歌が上手な少女という印象だったが、その後リリースした「マシュマロ」で注目を浴び始め、「Good Day」の大ヒットで人気は絶頂に達した。

 多くのガールズグループがマイクロミニのスカートやホットパンツをはいてセクシーさをアピールする中、IUは清純なイメージを固く守り、中年男性ファンの胸を熱くさせた。裏表なくファンとコミュニケーションする姿に、中年男性ファンの多くが忠誠を誓った。

 清純さが売りのIUだったが、このほどツイッターに掲載された男性アイドルとのツーショット写真が原因で「国民の妹」という称号もピンチを迎えている。このままIUの全盛時代は幕を閉じてしまうのだろうか。中年男性ファンたちは心穏やかでない。

■「国民の初恋の人」スジ

 今年は断然、miss Aスジの年だった。今年前半、男性たちに甘酸っぱい初恋を思い起こさせた映画『建築学概論』がスジに「国民の初恋の人」という称号をもたらしたのだ。

 IUが純粋でかわいらしい妹とすれば、『建築学概論』のスジはかれんな清楚さもあるといえるだろう。透き通るような白い肌に赤い唇、ストレートのロングヘアをなびかせるスジの姿に、一体どれだけ多くの男性がため息をついたことだろうか。

 『建築学概論』で演じた役のイメージにより「国民の妹」よりも「国民の初恋の人」と呼ばれる方が多いスジ。男性アイドルとのツーショット騒動が降ってわいたIUに代わり、新たな「国民の妹」として注目されている。

■「新CMクイーン」孫延在

 スポーツ界の新たな妖精も「国民の妹」に名乗りを上げている。新体操の韓国代表、孫延在だ。繊細でキュートなルックス、試合で見せる美しい体の動き…。競技会場で見る孫延在はまさに妖精のようだ。

 キム・ヨナがバンクーバー冬季五輪以降、競技から離れている間、瞬く間にスポーツ界の妖精となったのが孫延在だ。キム・ヨナの後継者として出演したCMも既に何本にもなる。まだ世界レベルの大会ではキム・ヨナに匹敵するほどの成績を挙げていないが、急成長している孫延在を見守るのも楽しみの一つだ。

■将来有望な「国民の妹」候補者たち

 今の子役の中にも今後「国民の妹」と呼ばれるようになりそうな少女たちがいる。高視聴率を記録したドラマ 『太陽を抱く月』のキム・ユジョンとキム・ソヒョンは、同ドラマ終了後も複数の作品に出演し、お茶の間でおなじみになっている。

 『太陽を抱く月』でイ・フォン(キム・スヒョン)の妹、ミナ王女を演じたナム・ボラも注目されている。ナム・ボラは昨年の大ヒット映画『サニー 永遠の仲間たち』に続き、今年だけで『ハウリング』『怖い話』『ドント・クライ・マミー』と映画3本に相次いで出演、着実に女優としての地位を固めている。

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