スターインタビュー
インタビュー:ヨン・ジョンフン「『ヴァンパイア検事』には勝負欲で挑戦した」
2011年の韓国ケーブルドラマ枠で視聴率NO.1を記録しマニアが続出したドラマ『ヴァンパイア検事』。これまでのイメージを覆しワイルド、クール、そしてセクシーなキャラクターに挑んだ主演のヨン・ジョンフンにインタビューした。
―『ヴァンパイア検事』に出演を決めた理由を教えてください。
「ヴァンパイアを演じるのは大きなチャレンジでした。ケーブルチャンネル作品だったので、地上波のようには視聴率は取れないとわかっていたんですが、ドラマのストーリーや、今までない題材という、ユニークな点を考えてチャレンジすることにしたんです。いろんな意味で勝負欲がわきました」
―ヴァンパイアが題材、というシナリオについてどう思いましたか。
「もしこのドラマがヴァンパイアだけが題材のものだったとしたら、魅力に欠けていたと思います。ヴァンパイアでありながら検事で、捜査もするというところがプラスされて、ストーリーがより膨らんで成功したんだと思います。序盤は、ヴァンパイアの部分よりも、事件を捜査する部分がフォーカスされていて、視聴率が上がって来たんですが、回を重ねてきて、ヴァンパイアの部分も、もっと出すようにしました」
―演じたテヨンという役はどんなキャラクターですか。
「テヨンは、自分の欲望を抑え、社会の悪と戦うために立ちあがるというヒーローみたいな役ですね(笑)」
―ヴァンパイア役ということで、特に参考にしたものや、準備はどのようにしましたか。
「僕が演じたテヨンは、ヴァンパイアとして生まれたのではなく、もともと普通の人間だったのが、ある事件を追って事故に遭い、ヴァンパイアになってしまったんです。だから人間としての感情も持っているし、その感情を抑えなくてはいけないというつらさもあるんです。ヴァンパイアを表現するために、『トワイライト』やヴァンパイアものの映画も見ましたが、『メンタリスト』や『シャーロック・ホームズ』などの捜査もののドラマや映画もたくさん見て参考にしました。そして、ヴァンパイアっぽく見せようと外見の部分に注意しました。ダイエットをしたんではないのですが、ドラマのために『チョコンドー』(注:テコンドーではない)という武術のトレーニングを3カ月ほどして、自然に身体が締まってきました」
―役作りで苦労したことはありますか。
「本当に大変でした。まずサイコメトラーとして過去を見るときの表情や、ヴァンパイアに変身する時の表情をどうするかについて、ずいぶん考えました。撮影が始まる前にティーザーの撮影をしたのですが、目が光ったり、血を拭いたりするシーンがあって、その時はかなり恥ずかしかったです(笑)。自分としては、今までにないチャレンジでした」
―今回はロマンスがなくて、笑顔も見せない役でしたが、そういった点はどう思いましたか。
「僕は少しだけ恋愛の部分があってもいいんじゃないかと思ったんですが、監督は特に必要ないという考えでした。もしあったとしたら、ヴァンパイアなので、恋愛ができずに冷たく突き放すようなことになったかもしれませんね」
―今までとまったく違う役で、スリムになって演じたということで、少しセクシーなイメージも意識したのでしょうか。
「セクシーさについてはまったく考えていませんでした(笑)。兵役前は優しい男の役が多かったんですが、除隊後はそのイメージから脱皮しようとして、悪人の役や医者の役で男らしさを考えて演じました。それでも優しい男のイメージが抜けきらなかったんですが、今回は台本が面白かったので参加したので、セクシーさを見せるために受けたわけではありません(笑)」
―1話完結のドラマですが、忘れられないストーリーは何ですか。
「毎回起きる事件と、ヴァンパイアの部分が絡み合っているところが見どころなんですが、特に記憶に残っているのは第4話です。法廷でのシーンが長くて、せりふも長くて大変だったんですが、ストーリー自体が教会の牧師さんが児童虐待にかかわっているというシリアスなものだったので、印象に残っています。普通の殺人事件ではなく、犯人が子ども時代のトラウマと戦いながら生きるという背景のシナリオが面白く書けていたと思います」
―撮影での思い出や楽しかったところはどこですか。
「撮影現場はとても楽しかったです。車が大好きなので、カーアクションが楽しかったです。性能のよい小さいカメラだったので、撮影のスタッフや監督も同乗して撮影しました。僕は、結構荒い運転をしたりしてスリル満点だったんですが、みんなが怖がって、わーわー大声出して面白かったですよ。今回のドラマの撮影では、小さい空間でもスピーディーに撮影できるということでDSLと言うカメラ機材を使って、映画の『ボーン・アイデンティティ』のような雰囲気で撮影しました」
―共演したイ・ヨンアさんとイ・ウォンジョンさんの印象を教えてください。
「2人とも面白い人です。ヨンアさんは、子供っぽくて、おてんばな妹みたいでしたね。ウォンジョンさんも大人になりきっていない隣のお兄さんみたいな感じです。オフの時間でも、ヨンアさんはいつも愛嬌(あいきょう)を振りまいていました。それをウォンジョンさんが見て、にんまりしていました(笑)」
―イ・ウォンジョンさんはどのドラマでも脇役として光っているんですが、アドリブとかもありましたか。
「アドリブが、すっごく多くて、ほぼ全部がアドリブって感じでした(笑)」
ヨン・ジョンフンは最後に、「テヨンはもともと人間だったのに、ヴァンパイアになって、食事もできず、血しか飲めず、人を愛することもできない。ただ検事として悪と戦うために、世の中の動きを天からじっと見下ろしているようなテヨンを表現しました。神でもなく、人間でもない、ヴァンパイアとしての寂しさを見ていただきたいです」とドラマと自身のキャラクターをPR。『ヴァンパイア検事』は好評を受け、シーズン2の制作も決定。シーズン2では、テヨンがヴァンパイアになった秘密なども描かれる予定だそうで、さらなる進化を遂げる「ヴァンパイア」ヨン・ジョンフンが楽しめそうだ。
『ヴァンパイア検事』DVD(発売・レンタル販売元:カルチュア・パブリッシャーズ、セル販売元:東宝)は9月5日よりTSUTAYAでレンタルスタート、DVD-BOXは10月19日にリリースされる。