専門家らは映画『10人の泥棒たち』大ヒットの理由として、まず「個性的な配役と登場人物のキャラクター」を挙げている。作品には泥棒10人が登場するが、それぞれ印象深いというのだ。映画評論家イ・ドンジン氏は「チェ・ドンフン監督ほどキャラクター作りがうまい監督はまれ。その演出力と豪華キャストが『うまくできた大衆娯楽映画』につながった」と話す。明知大学映画ミュージカル学部のキム・ヨンジン教授は「『10人の泥棒たち』は最後まで団結するハリウッドのケイパー・ムービー(犯罪物映画)の域には達していないが、逆に『10人の泥棒たち』ならではの形や流れが新鮮」と評している。

 「公開時期が絶妙だった」という見方もある。『10人の泥棒たち』はハリウッド大作『ダークナイト ライジング』より1週間遅れの先月25日に公開された。ほとんどの韓国映画が公開時期で『ダークナイト ライジング』を避けたのとは違っていた。映画を配給したショーボックスのチェ・グンハ企画広報チーム課長は「『ダークナイト ライジング』は全世代でなくマニア(一部の熱狂的支持層)に特化した映画なので、時間差を置いて公開すれば勝算があるだろうと思った」と話す。また、新作映画がほとんどないため『10人の泥棒たち』が公開2週目(8日)まで映画館で計7万4290回も上映されたのも幸いだった。同期間中2番目に多く上映された『ダークナイト ライジング』(3万9953回)の1.86倍だ。

 「7月中旬から続いた猛暑により、冷房がよく効いている映画館に観客が集まったのも『10人の泥棒たち』に有利に働いた」という声もある。事実、7月の入場者数は2095万人で、昨年7月の1833万人に比べ14%以上も増加、8月も例年を上回る勢いだ。「『10人の泥棒たち』は映画入場者数全体の規模が大きくなっている状況で、強力なライバル作品がないため圧倒的なスピードで観客を増やせた」(CJ CGV広報チームのキム・デヒ次長)ということだ。

 しかし、専門家らは「『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)が立てた韓国映画最多観客数1300万人突破は難しい」と見ている。ある配給会社の関係者は「ほぼ同じ時期に公開され、強力なライバル作品の登場が9月中旬からだった『グエムル』とは違い、『10人の泥棒たち』は8月末から多数の新作と競い合わなければならないため、新記録樹立は難しそうだ」と語った。

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