映画
インタビュー:「集計ミスかと思った」1000万人突破『10人の泥棒たち』チェ監督
先月25日に公開されたチェ・ドンフン監督(41)の映画『10人の泥棒たち』は韓国映画史上6作品目の観客1000万人突破を目前にしている。映画投資配給会社ショーボックス・メディア・プレックスは「12日までに923万7501人が入場、16日ごろには1000万人を越えると予想している」と13日に明らかにした。ユン・ジェギュン監督の『TSUNAMI-ツナミ-』(2009年)以来、3年ぶりに「1000万人動員映画」が出ることになる。韓国映画史上初の1000万人動員作品は、03年に公開されたカン・ウソク監督の『シルミド/SILMIDO』だ。
韓国映画関係者の間では、『10人の泥棒たち』1000万人動員の第一功労者にチェ監督の名を挙げることに異論はない。チェ監督がこれまで手掛けた『ビッグ・スウィンドル!』(212万人)、『タチャ いかさま師』(568万人)、『チョン・ウチ 時空道士』(613万人)の3作品はいずれもヒットしている。13日、ソウル市中区のカフェでチェ監督にインタビューした。
-動員1000万人は予想していた?
「映画を撮影している時に1000万人動員を期待している監督はいません。それに僕の映画はB級映画だし、犯罪物なので人によって好き嫌いが分かれると思っていたから、あ然としました。初めは映画振興委員会の統合コンピューターネットワークが集計ミスをしたのかと思いましたよ」
-1000万という数字は監督ご自身にとってどういう意味がある?
「『今後の道のりはさらに険しくなりそうだ』と思いました。プレッシャーで…。『ストレスは友達』という人が増えている。それでも苦労したスタッフや出演者たちにはプレゼントになりそうです」
-これまで興行面で失敗したことがないが、その秘訣(ひけつ)は?
「僕も気になっています。僕が書いたシナリオは『客が入るだろうか』といつも心配されます。今回の映画も『シナリオは面白いが、いかさま師を超えられるだろうか』という心配がありました。だから、映画がシナリオより良くなることを願い、撮影がハードになったりすることも。今回の作品では純粋に映画的な面白さを前面に出したので、観客も『映画らしい映画』と感じてくださったのでしょう」
-シナリオを書く時に念頭に置くことは?
「今書いている話が観客にとって興味をそそられる話なのか、面白い話なのか、話が終わってから何かほかのことが感じられるか…。自分では『ストーリーテラー(ストーリーの面白さで引きつける書き手)』だと思っています」
-撮影現場では何を最優先している?
「僕が俳優を愛しているかどうかです。シナリオではストーリーが重要ですが、撮影現場は俳優を撮るものだから。彼らが創造的で快適な環境で働けるようにするのが最優先。そして監督は撮影現場でたくさんの決定をしなければならないので、素早い判断を心がけています」
-『チョン・ウチ』以外の監督作品はすべて犯罪物だが。
「犯罪物は僕が(観客として)見たいジャンル。人は犯罪・事件・事故に尽きない好奇心を持っています。ああいうことが僕に起こりませんように、とは思うけど、それでものぞいて見たいという心理でしょう。大学に入ったばかりのころは社会部の記者になりたかったんです」
-大衆映画ではなく、いわゆる「芸術映画」を監督する考えは?
「すごい商業映画を作りたい。それも人間の断面を見せながら、ストーリーに吸引力がある作品を。『自分は素晴らしい商業映画が作れるのか』という悩みもすごくあります。1000万人が入場したとしても、その境地に達したわけではありませんから」
-奥様のアン・スヒョン・プロデューサー(『ユア・マイ・サンシャイン』『あいつの声』)と手掛けた初作品でもある。
「アン・プロデューサーは映画界では僕よりかなり先輩。本当はそれぞれ別に仕事をしようとしていました。けんかになるんじゃないかと思って。でも、実際に一緒にやってみたらプラス面が多かった。僕が監督としての自分に疑問を持っている時、彼女はそばでいいアドバイスをしてくれました。僕たちはお互いの仕事を尊重するという原則を守ったし、アン・プロデューサーはもともと公私の区別が徹底している人だから、むしろ楽だった。僕たちは夫婦であり友達でもあるから、一緒に仕事をすると面白いです」(インタビュー中に合流したアン・プロデューサーは「以前はそれぞれの撮影現場で仕事をしていて3カ月間会えない時もありました。でも今回は顔をずっと見ながら仕事ができたので良かったです」と言った。)
- 今後の計画は?
「この間から水泳を習い始めました。最初は25メートル泳ぐのも大変だったけど、今では100メートルは行きます。監督としてもやっと泳ぎ方を教わって100メートルくらい泳げたところ。僕はまだ監督としては若い方。道のりは遠い。計画はありません。あっても今は話しませんよ」